トラベルミステリーの巨匠として名高く、手掛けた作品の多くがサスペンスドラマとして映像化されている作家「西村京太郎」。代表作である「十津川警部シリーズ」をはじめとした、警察組織を舞台とした小説で人気の作家です。
そこで今回は、西村京太郎のおすすめ小説をご紹介。西村京太郎作品の魅力についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
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トラベルミステリーで人気の作家「西村京太郎」とは?
西村京太郎は1930年東京都生まれの作家です。都立電機工業学校卒業後、人事院に勤めました。
1963年には、『歪んだ朝』で第2回オール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1978年に発表した『寝台特急殺人事件』はトラベルミステリーブームの先駆けとなり、ベストセラーになりました。
西村京太郎は、ミステリー小説界でも多大な功績を収めている人物であり、年代を問わず多くのファンがいる作家です。2001年10月に神奈川県湯河原に開設された西村京太郎記念館は、“十津川警部シリーズファン垂涎の記念館”として親しまれています。
人気の「十津川警部シリーズ」を含めて450冊以上の著作を手掛けてきた西村京太郎ですが、2022年3月に91歳で逝去。追悼の思いを込めて西村京太郎作品を再読する方も増えています。
西村京太郎作品の魅力
サスペンス・ミステリーを得意とする西村京太郎。驚くようなトリックや、次々と伏線を回収していく名推理が魅力です。ミステリーが好きな方はもちろん、ふだんサスペンスやミステリーを読まない方も魅了される本格的な謎解きが詰まっています。
人気シリーズである「十津川警部シリーズ」をはじめとして、テレビドラマ化・映画化されている作品も多数存在。映像作品を観てから原作に興味を持つ方もいます。
特に、西村京太郎が先駆けとなったトレイン・ミステリーというジャンルは、鉄道ファンの方や旅行モノが好きな方にもおすすめです。
西村京太郎のおすすめ小説
完全殺人
祥伝社 著者:西村京太郎
サスペンス短編小説集。フジテレビでドラマ化された『恐怖劇場アンバランス』の原作にあたる『殺しのゲーム』も収録されています。
ある日、空き別荘の1室に4人の男女が集められました。4人の共通点は、殺人を犯したにもかかわらず、逮捕されなかったこと。時効を過ぎた完全犯罪を成し遂げた彼らに提案されたのは、“最もすぐれた殺人方法を示した者に大金をやる”という取引でした。
凶器の消し方や動機の隠蔽など、4人は自らの完全犯罪を語り始めます。奇妙な提案の真意は一体どこにあるのでしょうか。
表題作以外にも、意外な結末が待っている短編が収録されている1冊。初めて西村京太郎の作品を読む方にもおすすめです。
新装版 天使の傷痕
講談社 著者:西村京太郎
第11回江戸川乱歩賞受賞作。作家デビュー後初の長編小説である『四つの終止符』に続く第2作目です。
武蔵野の雑木林で、殺人事件が発生。瀕死の被害者は“テン”と呟き息を引き取りました。デート中に事件に遭遇した新聞記者・田島は、周辺の調査に乗り出します。
“テン”は「天使」のことを指すとはわかったものの、事件の背後には想像以上の闇が広がっていて…。
伏線に次ぐ伏線と、それを次々に回収していくリズムのよさが魅力の西村京太郎作品。読了後、思わず最初から読み直したくなるような構成のおすすめの1冊です。
炎の墓標
講談社 著者:西村京太郎
脅迫事件が暴き出す、日本企業と社会の闇にも触れられる1冊。第32回日本推理作家協会賞・長編部門候補作です。
新太平洋石油にかかってきた脅迫電話。内容は、“マンモス・タンカーの爆破中止と引き換えに100万ドルを要求する”というものでした。100万ドルの振り込み先は、バリ島の小さな商店。犯人の真の狙いはどこにあるのでしょうか。
「十津川警部シリーズ」の十津川警部と亀井刑事も登場する、十津川警部のファンの方にもおすすめの西村京太郎作品です。
北海道新幹線殺人事件
KADOKAWA 著者:西村京太郎
「十津川警部シリーズ」の長編ミステリー小説。西村京太郎本人の実体験を元にした作品です。
ベストセラーを出さないかと、売れない作家・三浦に出版社の社長から連絡が来るところから始まります。
三浦が受けたのは、北海道新幹線の開業をモチーフにしたミステリー小説の依頼でした。開業前日に刊行し、ベストセラーを目指すと社長は言います。無事に作品を書き終え、脱稿した三浦は開業当日に北海道新幹線に乗り込みますが…。
現実と小説の世界とが交錯する事件に立ち向かう十津川警部。テレビドラマで「十津川警部シリーズ」を観たことがある方にもおすすめの西村京太郎作品です。
名探偵が多すぎる
講談社 著者:西村京太郎
多数の世界的名探偵が登場するパロディ作品です。
舞台は別府航路の船の上。一堂に会したのは、世界の名探偵のメグレ・クイーン・ポワロ・明智の4人でした。4人の名探偵に対し、ルパンからの挑戦状が届き、両者の対決がスタートします。
しかし、ルパンが狙っていた宝石を持つ宝石商は鍵のかかった密室で殺害。宝石も奪われてしまいます。ルパンの挑戦の内容は密室殺人の謎解きだったのでしょうか。
日本の作品だけでなく、世界のミステリー小説が好きな方にもおすすめ。エンターテイメント性の高い西村京太郎作品です。
殺人者はオーロラを見た 新装版
徳間書店 著者:西村京太郎
アイヌ民族をモチーフにした、長編サスペンス小説です。
沖縄出身の歌手・南田ユキが殺害されました。胸に刺さっていたのはミニチュアの矢、そして首元には赤いスカーフが巻かれていたとのこと。後日、捜査本部に届けられたのは、アイヌの叙事詩ユーカラの、殺人事件をなぞった一節でした。
1週間後に起きた第2の殺人現場では、油壷のヨット・ハーバーで病院長・田中貢一郎が帆柱に縛られたままヨットごと沈められているのが発見されます。そこでも、またしてもユーカラの詩の一節が届き…。
ミステリーだけでなく、社会問題にも触れている西村京太郎作品。謎解きにプラスした読み応えが欲しい方にもおすすめの1冊です。
十津川警部 湘南アイデンティティ
小学館 著者:西村京太郎
「十津川警部シリーズ」の長編ミステリー小説。湘南ライナーをめぐる事件を描いています。
武藤は小田原で暮らし、湘南ライナーで新橋の経済研究所に出勤する男。そんな武藤の前に現れたのは、美女・小早川恵でした。恵は武藤に、週1度、平塚の自分のマンションで一夜をともにしてほしい、ただし体の関係は抜きでと提案します。
ほかにも、川上・大杉・岸川・仲という、湘南に住む30代エリート男性に声をかけた恵。5人と月曜から金曜までの“一夜同棲契約”を結びました。
そんなとき、岸川の秘書が殺害。十津川警部が捜査に乗り出したところで、恵と5人の男たちとの奇妙な関係を知ることになります。
西村京太郎が手がける、鉄道に関わる殺人事件。ミステリー好きだけでなく、鉄道が好きな方にもおすすめの作品です。
七人の証人 新装版
講談社 著者:西村京太郎
「十津川警部シリーズ」の、サスペンス満載の本格推理小説。閉ざされた空間の中で時間が起こる、クローズドサークルです。
帰宅途中に何者かに襲われた十津川警部は、不覚にも誘拐されてしまいます。目覚めた十津川警部が連れてこられていたのは、不可思議な島。島では、実在の町の一角が完全に再現されていました。
建物の中から次々と現れるのは、全員とある殺人事件の関係者。獄中死した被告人の父親が、息子の無実を証明しようとしていたのです。
裁判で証言をした証人7人に当時の発言を再現させると、そこから露呈したのは証言の矛盾。さらに、証人が殺される事態にまで発展します。
犯人の狙いと事件の真相に、十津川警部はたどりつけるのでしょうか。法廷ミステリーが好きな方にもおすすめの西村京太郎作品です。
新装版 殺しの双曲線
講談社 著者:西村京太郎
アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』に挑戦した、本格推理小説。陸の孤島と化した山荘で事件が起きる、クローズドサークルミステリーです。
差出人不明の手紙が、6名の男女に届けられました。内容は、東北の山荘への招待状。山荘に集まった6人でしたが、深い雪のため交通も連絡手段も絶たれてしまいます。
閉ざされた山荘の中で巻き起こるのは、連続殺人事件。1人1人が順番に殺されていく空間で恐怖のどん底に突き落とされた客人たちは、一体どうなってしまうのでしょうか。
『そして誰もいなくなった』を読んだことのある方にもおすすめの西村京太郎作品です。
終着駅殺人事件
光文社 著者:西村京太郎
第34回日本推理作家協会賞を受賞した西村京太郎作品。累計160万部を突破し、ドラマ化もされました。
上野発の寝台特急・ゆうづる7号で郷里に向かおうとしていたのは、青森県F高校の同窓生たち。卒業後7年ぶりの再会でしたが、上野駅構内で第1の殺人が起きます。その後も、仲間たちが次々と殺される事件が発生。亀井刑事と十津川警部と事件解決に向けた捜査をスタートします。
十津川警部も登場しますが、亀井刑事の活躍がメインで描かれているのが特徴の物語。亀井刑事のファンの方にもおすすめの西村京太郎作品です。
無明剣、走る
祥伝社 著者:西村京太郎
江戸時代を舞台にした、時代小説。時代劇スペシャルとして、ドラマ化もされた西村京太郎作品です。
舞台は、5代将軍綱吉の治世。阿波藩は、江戸幕閣の争いに巻き込まれました。そのうえ、江戸家老の陰謀によりさらに窮地に追い込まれます。
そんな阿波藩存亡の危機に際して立ち上がったのは、若き剣客・荒木田隼人。そして、闇の棟梁・仏の源十郎たちでした。阿州剣山に眠る伝説の埋蔵金を死守するため、一路徳島へと向かいます。
ミステリー小説家として人気を博す西村京太郎の、違った一面を見られる本作品。時代小説をあまり読まない方にもおすすめです。
夜の脅迫者
祥伝社 著者:西村京太郎
6つのストーリーを収録した、サスペンス短編集です。
『脅迫者』で描かれるのは、傲慢なエリート男性を襲った恐怖。営業部長・安田は、愛人と房総へドライブに出かけます。しかし、安田は帰り道で人身事故を起こしてしまいました。
“約束された次期重役の椅子が”と、出世の危機と不安を抱きます。ところが、安田が轢いた相手は小柄で貧相な男。これなら示談にできそうだと安心する安田でしたが、予想できない落とし穴が待っていました。
日常に潜む、誰にでも襲ってきそうなリアリティのある罠の数々。意外な結末から目が離せない緊張感を味わいたい方におすすめの西村京太郎作品です。
左文字進探偵事務所 消えた巨人軍
徳間書店 著者:西村京太郎
消失トリックを駆使したミステリー小説。「左文字進探偵事務所シリーズ」の第1弾にあたります。
ペナントレース終盤の9月。長嶋巨人は甲子園でのタイガース戦に向かうため、大阪へと向かっていました。しかし、移動中、東京から新大阪へ向かっていたひかり号から、巨人軍の選手が忽然と姿を消します。
犯人の要求は、5億円の身代金。監督やコーチを含めた総勢37名を、一体どうやって誘拐したのでしょうか。私立探偵・左文字進が、謎解きに立ち向かいます。
“誘拐と捜査と、犯人追及のサスペンスを存分に味わって頂きたい”と西村京太郎本人が語る作品。野球が好きな方にもおすすめの1冊です。
四つの終止符
講談社 著者:西村京太郎
西村京太郎初の長編ミステリー小説。映画化に加え、ドラマ化もされている人気作品です。
耳の不自由な青年・晋一は、下町のおもちゃ工場で働いていました。ある日、心臓病で寝たきりだった晋一の母が不審な死を遂げます。
捜査の結果、母の栄養剤から砒素が検出。疑いがかけられた晋一は、無実を訴えながらも憤死してしまいます。そんな晋一の後を追い、馴染みのホステスも死亡。晋一を陥れたのは一体誰なのでしょうか。
西村京太郎が描く社会派ミステリー。トラベルミステリー以外の作品に、興味がある方にもおすすめのロングセラー作品です。
一九四四年の大震災――東海道本線、生死の境 十津川警部シリーズ
小学館 著者:西村京太郎
戦後70年をきっかけに、戦争をテーマにして描かれた西村京太郎作品です。
浜名湖の湖岸にあるビルが炎上。藤田武という男の焼死体が発見されます。武の祖父・徳之助は、戦前「フジタ浜名湖地震津波研究所」をつくり、父・健太郎とともに研究をしていました。1944年12月7日に起きた昭和東南海地震をきっかけに、次は大震災が来ると警告する藤田親子を迫害します。
実際に翌年に三河地震が起こりますが、徳之助は鉱山に、健太郎は沖縄戦線に行くことになり、徳之助はその後行方不明に。事件の真相を探るべく、藤田健太郎・武親子は調査を開始します。
親子3代にわたる因縁をモチーフにし、戦争の闇を暴く西村京太郎作品。戦争を経験した西村京太郎だからこそ描ける世界観を体感したい方にもおすすめです。
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トラベルミステリーの先駆けとなったミステリー界の巨匠・西村京太郎。ミステリー小説のファンだけでなく、鉄道が好きな方も楽しみながら読めるのが西村京太郎作品の魅力です。映像化されているモノも多数あるので、ドラマを見たことがあるという方も、ぜひ読んでみてください。