ネットワークハードディスク(NAS)を導入する際に、あわせて購入を検討したいのが「NAS用HDD」。一般的に利用されているパソコン用の製品に比べ、耐久性や信頼性に優れているのが特徴です。
今回は、NAS用HDDのおすすめモデルをご紹介します。選ぶ際のポイントについても詳しく解説しているので、NASの導入やHDDの換装を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
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NAS用HDDとは?
NASとは、LANケーブルなどを用いてネットワーク上に接続できる記憶装置のことです。NAS用HDDはNASに搭載するのに適しており、パソコンと1対1で接続する一般的なHDDと違い、複数のパソコンと同時に接続できます。接続先ごとにケーブルをつなぎ替えなくて済みます。
スマホで撮影した写真をWi-Fi経由でNAS用HDDに保存し、パソコンで加工することも可能。リモートアクセス機能を搭載したNASであれば、外出先から自宅のデータにアクセスできるのも便利です。
一方で、基本的に常時電源がオンのNAS用HDDは、一般的なHDDよりも負荷がかかりやすいのが難点。故障した場合は、共有しているすべてのデータが消えてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
NAS用HDDの選び方
容量をチェック
写真や動画の保存なら「3〜4TB」
NAS用HDDの容量は、1TBから10TBを超える大容量モデルまで、さまざまな製品が販売されています。スマホやデジカメで撮影した写真・動画の保存がメインの使い方であれば、3〜4TB程度の容量を搭載したモデルがおすすめ。多くのデータが保存できるのはもちろん、もっとも普及している容量帯であることからコスパがよいのも特徴です。
旅行先で撮った写真やビデオを家族と共有したり、スマホのストレージ容量不足を解消したりと幅広いシーンで活躍します。
テレビ番組などの録画には「8TB」
好きなテレビ番組をたっぷりと録画したい方には、8TBなど大容量のNAS用HDDがおすすめです。普段仕事が忙しく、テレビを見る時間がなかなか取れない場合でも、休日に複数番組をまとめてチェックできるので便利。8TBの容量があれば、BSデジタル放送が約684時間、地デジ放送なら約965時間分の番組を記録できるので、購入時の目安にしてみてください。
また、「DTCP-IP」に対応しているかも大切なポイントです。DTCP-IPとはデジタルコンテンツの著作権保護技術のこと。対応しているNAS用HDDなら、自宅のネットワークに接続しているパソコンやスマホからでも動画や音楽が楽しめます。
ほかにも、複数のパソコンをバックアップしたり大量のデータを扱ったりする業務用途なら、より大容量なモデルを購入するなど、使い方に応じて余裕のある製品を選択するのが重要です。
回転数をチェック
NAS用HDDに限らずハードディスクユニットの内部には、高速で回転する記憶媒体が組み込まれています。回転数とは、記憶媒体が1分間に回転する回数のこと。製品のスペック欄に「rpm」という単位で記載されており、5400rpmもしくは7200rpmのハードディスクが一般的です。
大量のファイルを頻繁に読み書きするNAS用HDDの多くは7200rpmを採用。回転数が上がるほどアクセス速度が速くなるため高性能です。ただし、高回転モデルは性能が高い分、発熱や動作音が大きくなる傾向があるので留意しておきましょう。
回転振動センサー(RVS)の有無もポイント。外部振動によるエラーの発生を抑えられます。複数のNAS用HDDを実装して稼働させる方は、あわせて確認してみてください。
静音性をチェック
NAS用HDDの静音性についてもしっかりとチェックしましょう。静かなオフィスに複数ベイのNASシステムを導入する場合は、動作音が大きいと仕事の妨げになる可能性があるため特に注意が必要です。
多くの製品がスペックにアイドル時やシーク時の騒音値を記載しており、30dBや20dBなど数字が小さいほど静音性に優れています。NAS用HDDのなかには、内部にヘリウムガスを充填することで優れた静音性を実現している製品もあるので、静かさを求める方は検討してみてください。
発熱性と耐久性をチェック
ハードディスクユニットの内部では、駆動部やパーツの発熱による温度上昇が発生します。ハードディスクドライブは熱に弱く、高温環境での稼働は故障発生のリスクが高まります。特に、24時間連続で動作させる機会の多いNAS用HDDの場合は注意が必要です。
低消費電力の製品ほど内部発熱が抑えられる傾向にあるので、購入時にチェックしてみてください。NASキット本体を排熱のしやすい場所へ設置する配慮も忘れずに行いましょう。また、ヘリウムガスを密封し、記憶媒体が回転する際の抵抗を減らすことで、消費電力を削減している製品なども販売されています。高性能と高耐久性の両方を重視する方におすすめです。
保証をチェック
業務用途で導入されるケースの多いNAS用HDDには、通常の製品と比較して長めの保証期間が付帯しているのが一般的です。多くの製品が3年の製品保証期間を設けています。なかには、5年など非常に長い保証期間を設定しているモデルもあるため、より高い安心感を求める方はチェックしてみてください。
ただし、正規代理店もしくは正規販売店からの購入でないと保証を受けられない場合が多いので、公式サイトなどで各メーカーの保証方針(Warranty Policy)を確認しておくと安心です。無償または有償による、データ復旧サービスを行っているメーカーもあります。
価格をチェック
NAS用HDDには、1万円前後のモデルから5万円を超えるモノまで、幅広い価格帯の製品があります。搭載するドライブの容量が大きいほど、また信頼性が高いモデルほどコストもアップする傾向にあるのが特徴。NAS用HDDを購入する際には、目的や用途に合わせて適切な価格の製品を選ぶことが大切です。
NAS用HDDのおすすめメーカー
ウエスタンデジタル(Western Digital)
「ウエスタンデジタル」はNAND型のフラッシュメモリーやハードディスクドライブ、及び関連製品を製造・販売するアメリカのメーカーです。
NAS用HDDは「WD Redシリーズ」ブランドで展開。ホームユースやSOHO向けの「WD Red」をはじめ、中規模事業者向けの「WD Red Plus」や、大規模企業のニーズにも対応できる「WD Red Pro」をラインナップしています。目的や用途に合った製品が選びやすいので、ぜひチェックしてみてください。
東芝(TOSHIBA)
東京に本社をもつ日本を代表する総合電機メーカーです。半導体や電池といったデバイスから発電や送電システムまで、幅広い分野の事業を手掛けています。ストレージ関連製品は「東芝デバイス&ストレージ」が担当。NAS用HDDは3.5インチの「MNシリーズ」で、容量4〜18TBまでの製品をラインナップしています。
24時間稼働に対応しているのはもちろん、全モデル回転センサーを内蔵しており、複数ベイ利用時における優れた安定性を備えているのが特徴です。
シーゲート(SEAGATE)
世界最大クラスのシェアを有する、アメリカのハードディスクメーカーです。主にストレージ関連の製品やサービスを手掛けています。
NAS用HDDは「IronWolf」と「IronWolf Pro」ブランドで販売。IronWolfは、個人やSOHOでの使用におすすめのシリーズで、3年間の製品保証が付帯しています。
また、IronWolf Proは5年間の長期製品保証が付いた、プロのクリエイターや中・大規模企業に適したシリーズです。いずれのシリーズも3年間のデータ復旧サービスが無料で付いているため、安心して使用できます。
NAS用HDDのおすすめモデル
ウエスタンデジタル(Western Digital) WD Red NASハードディスクドライブ 4TB WD40EFAX
コスパの高さが魅力のNAS用HDDです。回転数5400rpmで、最大転送速度180MB/sを実現。NAS用HDDのなかでは回転数が控えめながらも、静音性に優れています。回転振動センサーが搭載されており、衝撃や振動による障害を防ぎます。
互換性に優れているのがおすすめポイント。さまざまなメーカーの機器で使えるよう、複数のNASを使用して互換性テストを行っていると謳われています。複数のユーザーからアクセスするような高負荷な状況にも耐えられるよう設計されているのも特徴です。
容量は4TB。3年間の製品保証が付いています。写真や動画のバックアップなど、家庭用のNASにおすすめです。
ウエスタンデジタル(Western Digital) WD Red Plus NASハードディスクドライブ3.5インチ 4TB WD40EFPX
家庭用や小規模なオフィスにおすすめのNAS用HDDです。電力効率がよい設計で、放熱性に優れているのがポイント。NASを24時間稼働させ続けるような状態でも、発熱と消費電力を抑えます。
ディスクのバランスを補正する、拡張デュアルプレーンバランス制御テクノロジーを搭載。過度な振動を抑えて、HDDのパフォーマンス低下を防ぎます。また、騒音を抑える効果も期待できます。
回転数は5400rpm。転送速度180MB/sで伝送できます。容量は4TBで、写真や動画のバックアップに適しています。3年間の製品保証が付いており、万が一故障や不具合があったときもしっかりとサポートを受けられます。
ウエスタンデジタル(Western Digital) WD Red Pro NASハードディスクドライブ 6 TB WD6005FFBX
信頼性の高いNAS用HDDです。多軸衝撃センサーを搭載し、ハードディスクへのわずかな衝撃も検知します。振動によってヘッド部分が衝撃を受けないように調整する「動的フライハイトテクノロジー」にも対応。外部からの衝撃によるデータ破損を防ぎます。
回転数は7200rpm。転送速度238MB/sで、大容量のデータもスピーディーに伝送が可能です。容量は6TB。動画や写真のデータの保存などにぴったりです。
製品保証は5年間とサポート期間が長いのも魅力のひとつ。HDDに重要なデータを保存するような中小規模のオフィスなどでの使用にもおすすめです。
ウエスタンデジタル(Western Digital) WD GoldエンタープライズクラスSATA HDD 4TB WD4004FRYZ
重要なデータの保存におすすめのNAS用HDDです。平均故障間隔は250万時間で、優れた耐久性を備えています。24時間常に稼働させるような高負荷な状態でも、データが破損する心配が少なく安心して使用できます。
転送速度は最大267MB/sで、素早い伝送が可能です。容量は4TBで、写真や動画の保存などに適しています。
高度な振動保護テクノロジーを採用しているのが魅力のひとつ。線形振動と回転振動をリアルタイムで補正する監視エレクトロニクスを搭載しています。振動が大きい環境でも安心してデータを保護できます。
ウエスタンデジタル(Western Digital) Ultrastar DC HC520 12TB HUH721212ALE604
大容量かつ優れた信頼性を備えたNAS用HDDです。内部にヘリウムガスを充填するHelioSealテクノロジーを採用しているのがおすすめポイント。ディスク回転時の抵抗を減らし、優れた電力効率を実現しています。
12TBと大容量で、長時間の録画データや膨大な写真データなどを保存するのに適しています。消費電力が少ないのも特徴。ランニングコストを抑えながら、大切なデータを保存できます。
平均故障間隔を表すMTBFは250万時間。重要なデータを長期間保存したい方におすすめです。5年間の製品保証が付いている点も魅力です。
東芝(TOSHIBA) MNシリーズ 3.5インチ内蔵HDD 8TB MN08ADA800
家庭用やホームオフィスにおすすめのNAS用HDDです。ディスク回転数は7200rpmで、高速回転によりスピーディーなデータ転送が可能。大容量なデータも迅速に読み書きできます。
回転振動抑制センサーを搭載しており、振動が大きくても安定して使用できるのが特徴。8台のHDDを搭載するような、マルチベイ環境にも耐えられます。
容量は8TBのため、複数の動画データやテレビの録画データなどの保存におすすめです。製品保証は3年間。万が一のときも、日本語でサポートを受けられます。
東芝(TOSHIBA) N300 NAS 3.5インチ SATA 内蔵ハードドライブ 6TB HDWG460UZSVA
長期間の使用にも耐えられる、信頼性の高いNAS用HDDです。24時間365日稼働できるよう、高い耐久性を備えています。平均故障間隔は100万時間です。
ディスク回転数7200rpmで、高速なデータ転送が可能。大容量のデータを取り扱う場合や、複数のデバイスからバックアップを取る場合にもおすすめです。
回転振動の影響を抑えるRVセンサーを搭載しているのが特徴。振動が大きい環境でも、故障やデータ破損のリスクを低減します。最大8台までのドライブベイをサポートします。
シーゲート(SEAGATE) IronWolf 3.5インチ 2TB 内蔵 ハードディスク HDD ST2000VN003
信頼性とコスパの高さが魅力のNAS用HDDです。容量は2TBで、家庭用のNASにおすすめ。控えめな価格で導入コストを抑えたい方に適しています。
24時間常に稼働できるように作られた、信頼性の高い設計が魅力。MTBFは100万時間です。ディスク回転数は7200rpmで、ハイスピードな伝送が可能。最大連続転送速度は240MB/秒と高速なのもポイントです。
最大8台までのマルチベイに対応。RVセンサーを搭載しており、振動や衝撃からハードディスクを保護します。
シーゲート(SEAGATE) IronWolf Pro 3.5インチ 6TB 内蔵 ハードディスク HDD ST6000NT001
データ障害のリスクを素早く検知するNAS用HDDです。振動や温度、衝撃などの異常を検知したときに知らせる「IronWolf Health Management」に対応。異常検知だけでなく、バックアップの提案やスムーズなデータ復旧対応もできておすすめです。
最大回転数は7200rpm。最大連続転送速度は最大285MB/秒と高速なのが魅力です。容量は6TB。写真や動画など容量の大きいデータを扱う、クリエイティブ作業を行う方におすすめです。
シノロジー(Synology) Plusシリーズ 3.5インチSATA HDD 4TB HAT3300-4T
セットアップや管理が簡単なNAS用HDDです。専用のソフトウェアDSMを使用すると、簡単にファームウェアの更新が可能。ディスクの取り外しや専用ツールを使う必要がなく、HDDをNASに接続したまま手軽に管理できておすすめです。
24時間365日稼働させる環境にも耐えられるよう設計されているのが特徴。徹底した互換性テストやストレステストをクリアしています。
容量は4TBで、写真や動画データのバックアップに活用できます。回転数は5400rpmで、騒音が気になりにくいのが特徴。手頃な価格でコスパに優れているため、初めてNAS用HDDを購入する方におすすめです。
NAS用HDDを選ぶときには、容量はもちろん耐久性や保証期間などチェックすべきポイントがいくつか存在します。確認を怠るとアクセス速度が遅かったり、ドライブを増設した際にエラーが発生したりする可能性があるので注意が必要。本記事を参考に、目的や用途に合ったモデルを導入してみてください。