レコードに刻まれた溝から音声信号をピックアップするレコード用カートリッジ。針先の形状やマウントとよばれる固定方法の種類によって、さまざまな製品があります。
カートリッジはレコード再生の音質を左右する重要なアイテムですが、どのように選べばよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、レコード用カートリッジの選び方とおすすめモデルをご紹介します。
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- 目次
- レコード用カートリッジの選び方
- レコード用カートリッジのおすすめメーカー
- レコード用カートリッジのおすすめ|MM
- レコード用カートリッジのおすすめ|MC
- レコード用カートリッジのAmazonランキングをチェック
レコード用カートリッジの選び方
カートリッジの種類
MMカートリッジ
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レコードの溝を読み取る際に、カンチレバーと呼ばれる部品の動きと連動して磁石が振動し、発電するのが「MMカートリッジ」です。磁石が動くことで発電する仕様。「VMカートリッジ」と表記されることもあります。
構造がシンプルなため、比較的安価なのがポイント。針交換が容易なのもメリットです。また、出力が高いので、アンプのフォノ端子にそのまま繋げられます。簡単に扱えるレコード用カートリッジを探している場合は、MMカートリッジがおすすめです。
MCカートリッジ
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「MCカートリッジ」は、カンチレバーにコイルが巻かれている構造を採用。針と連動してコイルの動きで発電するためムービング・コイル(MC)といいます。広い周波数範囲に対応でき、繊細な表現力も併せ持っているので、音質を重視したい方におすすめです。
ただし、MMカートリッジと比べて複雑な構造で価格も高め。設計に精密さを要求されるため、ノウハウのあるメーカーでなければ開発するのが難しい面もあります。
また、出力が低いので、接続する際はMCカートリッジに対応したアンプを選ぶか、出力電圧を高める「MCヘッドアンプ」や「昇圧トランス」が必要です。
マウントのタイプで選ぶ
標準マウント
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カートリッジ本体をヘッドシェルと呼ばれる部品にネジ2本で固定し、ヘッドシェルごとトーンアームに取り付けるのが「標準マウント」です。主流のマウントなので、現在販売されているレコードプレーヤーの多くに使われています。製品数が多いため、好みのモノを見つけやすいのがメリットです。
Pマウント
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カートリッジにある4本の突起で、トーンアームに直接接続するのが「Pマウント」方式の製品です。
ネジで留めたり、ヘッドシェルを用いたりしないため、簡単に取り付けられます。標準マウントの場合に必要な針圧調整が不要なのがメリット。ただし、Pマウントに対応しているレコードプレーヤー自体が現在はほとんど流通していない点には留意しておきましょう。
針先の形状をチェック
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スタイラスチップとも表記される針先の形状は、大きく分けて「丸針」「楕円針」「シバタ針」の3種類があります。
「丸針」は針先が丸く、針先としてはオーソドックスな形状。幅広いカートリッジに使われており、DJ用の針としても多く採用されています。安定したサウンド傾向が特徴です。
「楕円針」は楕円状の針先が特徴。高音域の再生に優れています。ただし、丸針と比べて寿命が短い傾向にあるのがデメリットです。
「シバタ針」は4チャンネルレコードの再生にも対応している針。きれいな中高音域を鳴らせるのが魅力です。また、針圧が軽い傾向にあり、針の寿命が長めなのもポイント。伸びのよい音質が好みの方や、長く使えるタイプを探している方は、ぜひチェックしてみてください。
レコード用カートリッジのおすすめメーカー
デノン(DENON)
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デノンは日本を代表する老舗オーディオ機器メーカーです。1970年には放送局用のカートリッジ「DL-103」が一般発売され、制作現場の定番機として活躍。現在も販売されており、MCカートリッジの定番モデルとして愛されています。
SPレコード時代からのノウハウを有しているのもポイント。老舗ならではの安定感がある製品をラインナップしているのが魅力です。
オルトフォン(ortofon)
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オルトフォンは1918年にデンマークで設立されたオーディオ機器メーカー。トーンアームやヘッドアンプなどのレコード関連製品を多くラインナップしています。
MCカートリッジの代名詞ともいえる「SPU」を展開。さらに、DJ用カートリッジの定番「CONCORDE」など多くの名機を生み出しました。北欧メーカーらしいスタイリッシュなデザインやカラーリングも魅力です。
オーディオテクニカ(audio-technica)
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オーディオテクニカは、1962年に設立された日本の音響映像機器メーカーです。イヤホンやヘッドホンなどのアイテムで有名なメーカーですが、設立当初はレコードプレーヤー用のカートリッジを展開していました。
現在もMMカートリッジを独自に改良したVMカートリッジをはじめ、MCカートリッジの「OC9シリーズ」や「AT33シリーズ」など、ロングセラーモデルをラインナップしています。
レコード用カートリッジのおすすめ|MM
オーディオテクニカ(audio-technica) VM540ML
4モデルがラインナップされている「500シリーズ」のハイエンドモデルです。針先の曲率半径が不変なため、低歪みを実現している「無垢マイクロリニア針」を搭載しているのが特徴。緻密で繊細な表現で音楽を楽しめます。
左右の音声信号の混ざり合いを改善するセンターシールドプレートにより、ステレオ感の再現性に優れているのもポイントです。高剛性樹脂ハウジングにより、使いやすさと本体の耐久性を備えています。
「500」シリーズは針先の異なる交換針に対応しており、好みで付け替えられるのも魅力。パワフルなサウンドが持ち味の無垢楕円針に替えて、ロックを楽しむといった使い方が可能です。
オーディオテクニカ(audio-technica) VM型 デュアルムービングマグネット ステレオカートリッジ AT-VM95E
オーディオテクニカの定番モデルです。正確な情報を引き出しやすい接合楕円針を搭載。さまざまな音楽ジャンルにマッチします。針先が見やすいデザインで、狙った位置に針をおろしやすいことがポイントです。
インサートナット構造で、シェル一体型トーンアームへ簡単に取り付けできるなど、本格的なレコードプレーヤーが初めての方にもおすすめです。
また、AT-VM95シリーズでは針先に互換性があり、先端の形状が異なる針にも簡単に交換可能。音楽ジャンルや気分によって針の使い分けも楽しめます。
比重が軽いアルミニウムパイプカンチレバーや、高剛性樹脂ハウジングを採用。扱いやすいうえ、頑強さも考慮されています。
オーディオテクニカ(audio-technica) AT81CP
![オーディオテクニカ(audio-technica) AT81CP 2023](https://sakidorico.s3.amazonaws.com/wp/wp-content/uploads/2024/05/6639c67498e10-500x256.jpg)
Pマウント方式のカートリッジです。テクニクス・日立・パイオニアなどがリリースしていたリニアトラッキング方式のターンテーブルに適合します。周波数特性は20~20000Hz、垂直トラッキング角度は20°です。
針先はオーソドックスな円錐型でさまざまな音楽ジャンルにマッチ。また、デュアルマグネットシステムがクリアなサウンドを生み出します。
オーディオテクニカ(audio-technica) VM型 デュアルムービングマグネット ステレオカートリッジ AT-XP5
![オーディオテクニカ(audio-technica) VM型(デュアルムービングマグネット)ステレオカートリッジ AT-XP5 2018](https://sakidorico.s3.amazonaws.com/wp/wp-content/uploads/2024/05/6639c750f405a-500x356.jpg)
オーディオテクニカのDJ向けカートリッジです。HiFiオーディオ向けカートリッジで培った技術が豊富に使われています。楕円針による高い解像度や、カーボン入りABS樹脂材のカンチレバーによるレスポンスの速さがポイント。鋭いサウンドと迫力のグルーヴを生み出します。
ハウジングにはグラスファイバーが配合されており高い剛性が特徴。スクラッチなどハードなプレイを多用するDJにもおすすめです。出力は5.5mVと高くパワフルなサウンドを楽しめます。
針先の視認性が高く、狙った場所に針をおろしやすいことも魅力。DJプレイ時の扱いやすさも考慮されています。
ナガオカ(NAGAOKA) MP型ステレオカートリッジ MP-110
高い臨場感が世界中で評価された「MP-11」の後継機です。周波数特性は20~20000Hz。低音から高音までバランスに優れたサウンドで、さまざまなジャンルの音楽にマッチします。
ナガオカ独自の「MP」方式で、磁石よりも軽量な「パーマロイ」を動かしていることがポイント。カンチレバーの動きの自由度が高く、繊細な音を生み出します。また、MMカートリッジ同様の高い出力で扱いやすいことも特徴。手軽に高精細な音を楽しみたい方におすすめです。
針先は楕円で、カンチレバーはアルミ合金製。扱いやすさも考慮されています。
オルトフォン(ortofon) VNL Single Pack
DJプレイに興味がある方におすすめのMMカートリッジです。針飛びのしにくさがポイントで、激しいDJプレイ中にもレコードの溝をしっかりと捉え続けます。
丸針でレコードの摩耗を抑えていることも魅力。DJプレイの主流になりつつあるDVS環境にも対応しており、レコードもDVSも両方楽しみたい方にもおすすめです。
自重は6.5gと軽量で、さまざまなアームに取り付けが可能。汎用性の高さも考慮されています。堅牢性も高く、クラブなどへ自前のカートリッジを持ち込みたい方にもおすすめです。
交換用の針は3種類をラインナップ。サスペンションの効き方に違いがあり、DJプレイのスタイルにあわせて選択できます。
レコード用カートリッジのおすすめ|MC
デノン(DENON) MC型カートリッジ DL-103
NHKとの共同開発によって1964年に発表されたMC型カートリッジ。55年以上にわたる超ロングセラーです。放送局用として必要な、色付けの少ない素直な再生傾向から、MC型カートリッジの原器モデルといわれています。
ジャンルを選ばないオーソドックスなサウンドも持ち味です。過酷な使用が想定される業務用設計のため、堅牢さや動作の安定性が高いのも魅力。MC型カートリッジを使用してレコード再生を行うなら、ぜひ検討してみてください。
デノン(DENON) MC型カートリッジ DL-301II
1984年に発売されて以来、モデルチェンジすることなく現行販売されているロングセラーです。ジャズ・ロック・フュージョンなどのジャンルに適したエネルギッシュなサウンドを志向した「DL-301」の後継機。パンチとビートの効いた迫力サウンドが持ち味です。
世界初の4ヶ所止めを採用しているのも特徴。シェルへのより確実な固定を実現しています。また、カンチレバーを剛性を保ちながら軽量化し、振動系の動作を改善。解像度・エネルギー感・低域の締まりなどの再現力を高めています。
クラシック向けの繊細な音作りが多いMC型カートリッジながら、ポピュラーミュージックに適したパワフルなもサウンドが魅力。MM型からのステップアップを図りたいポピュラーミュージックが好きな方にもぴったりです。
デノン(DENON) DL-102
クラシックの歴史的名盤など、モノラル音源のレコードを楽しみたい方におすすめのMCカートリッジです。放送局用として作られていた歴史があり、原音に忠実なクリアなサウンドもポイント。1961年の発売以来、長年販売し続けているロングセラーモデルです。
MCカートリッジでありながら、出力が高いことも特徴。MM端子に直結して利用できるため、MCカートリッジ用の環境がない方にもおすすめです。
オルトフォン(ortofon) MC-Q5
![オルトフォン(ortofon) MC-Q5](https://sakidorico.s3.amazonaws.com/wp/wp-content/uploads/2024/05/663b0a9d30581-500x455.jpg)
By: ortofon.jp
オルトフォンのMCカートリッジエントリーモデルです。アルミパイプのカンチレバーと楕円針を組み合わせた、オーソドックスな構成。さまざまなジャンルに合わせやすく、MCカートリッジ入門機としてもおすすめです。
上位機種から引き継がれた3点支持機構はヘッドシェルとの接点を減らしつつ、精度を高めていることがポイント。不要な共振を抑え、クリアなサウンドを実現します。
マグネットと磁気回路の軸を平行に配置した「オルトフォン・タイプ」を採用し、発電効率の高さが特徴です。内蔵されたネオジウム磁石が高い出力を生み出します。
赤を基調としたポップなカラーリングも魅力。現代的な見た目のレコードプレーヤーとあわせたい方におすすめです。
オーディオテクニカ(audio-technica) MCカートリッジ AT-OC9XML
1987年に初代「AT-OC9」が発売された「OC9」シリーズの新しいモデルです。マイクロリニア針とボロンカンチレバーを採用し、音楽信号を忠実に読み取ります。
アルミニウムボディにより不要な振動を抑え、音の再現性を向上。PCOCC銅線をコイルに採用することで、信号の欠落を抑えた伝送も実現しています。
高級モデルにふさわしい情報量の豊かなサウンドと、力感に優れた再現性が魅力。最新録音によるレコードのような現代的な音源にぴったりです。
カートリッジ本体にビス穴を開けているのもポイント。ヘッドシェルか、シェル一体型トーンアームを2本のビスだけで取り付け可能なので、カートリッジ交換がしやすいのがメリットです。
オーディオテクニカ(audio-technica) デュアルムービングコイル MC ステレオカートリッジ 空芯型 AT-ART9XA
空芯型のMCカートリッジです。一般的な鉄芯型と比較して、磁気による歪みの影響を受けにくいことがポイント。レコードの持つピュアな信号をアンプに送ります。
カンチレバーは硬度の高い「ボロン」を使用。反応速度の高さも魅力です。低音から高音までバランスのよいシバタ針との組み合わせで、緻密な音場表現を実現します。
アルミニウムハウジングに高剛性樹脂を組み合わせたハイブリッドボディも特徴。不要な寄生共振を抑制しています。
カートリッジ側にネジが切られており、2本のビスだけでヘッドシェルやシェル一体型トーンアームへ取り付けが可能。簡単に取り付け・取り外しができるため、音楽ジャンルにあわせて複数のカートリッジを使いわけたい方にもおすすめです。
レコード用カートリッジは、アナログレコードを聴く際の必需品といえるアイテム。種類や針の形状によって音質が異なるのはもちろん、メーカーによっても特性があります。ぜひお気に入りのカートリッジを入手して、レコードをより楽しんでみてください。