レコードに刻まれた溝から音声信号をピックアップする「カートリッジ」。針先の形状やマウントのタイプ(固定方法)によって、さまざまな製品があります。

カートリッジはレコード再生の音質を左右する重要なアイテムですが、どのように選べばよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、レコード用カートリッジの選び方とおすすめモデルをご紹介します。

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レコード用カートリッジの選び方

カートリッジの種類

MMカートリッジ

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レコードの溝を読み取る際に、カンチレバーと呼ばれる部品の動きと連動して磁石が振動し、発電するのが「MMカートリッジ」です。磁石が動くことで発電するのでムービング・マグネット(MM)といいます。

構造がシンプルなため、比較的安価なのがポイント。針交換が容易なのもメリットです。また、出力が高いので、アンプのフォノ端子にそのまま繋げられます。簡単に扱えるレコード用カートリッジを探している場合は、MMカートリッジがおすすめです。

MCカートリッジ

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「MCカートリッジ」は、カンチレバーにコイルが巻かれている構造を採用。針と連動してコイルの動きで発電するためムービング・コイル(MC)といいます。広い周波数範囲に対応でき、繊細な表現力も併せ持っているので、音質を重視したい方におすすめです。

ただし、MMカートリッジと比べて複雑な構造で価格も高め。設計に精密さを要求されるため、ノウハウのあるメーカーでなければ開発するのが難しい面もあります。

また、出力が低いので、接続する際はMCカートリッジに対応したアンプを選ぶか、出力電圧を高める「MCヘッドアンプ」や「昇圧トランス」が必要です。

マウントのタイプで選ぶ

標準マウント

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カートリッジ本体をヘッドシェルと呼ばれる部品にネジ2本で固定し、ヘッドシェルごとトーンアームに取り付けるのが「標準マウント」です。主流のマウントなので、現在販売されているレコードプレーヤーの多くに使われています。製品数が多いため、好みのモノを見つけやすいのがメリットです。

Pマウント

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カートリッジにある4本の突起で、トーンアームに直接接続するのが「Pマウント(T4P規格)」方式の製品です。

ネジで留めたり、ヘッドシェルを用いたりしないため、簡単に取り付けられます。標準マウントの場合に必要な針圧調整が不要なのもメリット。ただし、Pマウントに対応しているレコードプレーヤー自体が現在はほとんど流通していないため、注意しましょう。

針先の形状をチェック

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針先(スタイラスチップ)の形状は、大きく分けて「丸針」「楕円針」「シバタ針」の3種類があります。

「丸針」は針先が丸く、針先としてはオーソドックスな形状。幅広いカートリッジに使われており、DJ用の針としても多く採用されています。安定したサウンド傾向が特徴です。

「楕円針」は楕円状の針先を採用。高音域の再生に優れている特徴があります。ただし、丸針と比べて寿命が短い傾向にあるのがデメリットです。

「シバタ針」は4チャンネルレコードの再生にも対応している針。きれいな中高音域を鳴らせるのが魅力です。また、針圧が軽い傾向にあり、針の寿命が長めなのもポイント。伸びのよい音質が好みの方や、長く使えるタイプを探している方は、ぜひチェックしてみてください。

レコード用カートリッジのおすすめメーカー

デノン(DENON)

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デノンは日本を代表する老舗オーディオ機器メーカーです。1970年には放送局用のカートリッジ「DL-103」が一般発売され、制作現場の定番機として活躍。「DL-103」は現在も販売されており、MCカートリッジの定番モデルとして愛されています。

SPレコード時代からのノウハウを有しているのもポイント。老舗ならではの安定感がある製品をラインナップしているのが魅力です。

オルトフォン(ortofon)

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オルトフォンは1918年にデンマークで設立されたオーディオ機器メーカー。トーンアームやヘッドアンプなどのレコード関連製品を多くラインナップしています。

MCカートリッジの代名詞ともいえる「SPU」を展開。さらに、DJ用カートリッジの定番「CONCORDE」など多くの名機を生み出しました。北欧メーカーらしいスタイリッシュなデザインやカラーリングも魅力です。

オーディオテクニカ(audio-technica)

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オーディオテクニカは、1962年に設立された日本の音響映像機器メーカーです。イヤホンやヘッドホンなどのアイテムで有名なメーカーですが、設立当初はレコードプレーヤー用のカートリッジを展開していました。

現在もMMカートリッジを独自に改良したVMカートリッジをはじめ、MCカートリッジの「OC9シリーズ」や「AT33シリーズ」など、ロングセラーモデルをラインナップしています。

レコード用カートリッジのおすすめ|MM

オルトフォン(ortofon) CONCORDE MKII MIX


オルトフォン(ortofon) CONCORDE MKII MIX
シェル一体型で手軽にカートリッジを交換できる

超音速旅客機「コンコルド」から発想を得たデザインが特徴的なMM型カートリッジ。シェル一体型のボディとなっているため、ヘッドシェルやリード線などを用意する必要なく、そのまま手軽にカートリッジを交換できるのがメリットです。

「CONCORDE」シリーズはDJ用を謳っているだけに、重低音やリズムの表現力に優れています。DJプレイ別や細かな音楽ジャンルに適した5モデルをラインナップ。本機はオールラウンドな設計で、クラブミュージックをはじめ、テクノポップやロックなど幅広いポピュラー音楽にぴったりです。

オルトフォン(ortofon) MMカートリッジ 2M Red


オルトフォン(ortofon) MMカートリッジ 2M Red
バランスに優れた自然な再生音が魅力

MM型カートリッジの世界的定番といわれる「2M」シリーズに属するモデルです。スタイラスチップの動きを忠実に信号へと変換できる独自の磁気回路が特徴。リーズナブルな価格と、バランスに優れた自然な再生音が魅力です。

安価な入門用MM型カートリッジとしては珍しく針交換が可能。長く使用できます。デンマークのデザイン集団「ミュラー・イェンセン・イノベーション&デザイン」が手掛けた、シンプルながらもスタイリッシュなデザインもポイントです。

世界的なロングセラーモデルであり、MM型カートリッジの標準機的な存在として、ひとつ持っておくのがおすすめです。

オーディオテクニカ(audio-technica) VM型カートリッジ VM520EB


オーディオテクニカ(audio-technica) VM型カートリッジ VM520EB
リーズナブルな価格でレコード初心者におすすめ

オーディオテクニカ独自のVM型を採用したカートリッジです。2本のマグネット振動子をV字状に配置しているのが特徴。レコードに音溝を刻み込んだカッターヘッドに限りなく相似な動作を得ることで、理想に近い動作を実現できるのがメリットです。

VM型はMM型と完全な互換性があるため、MM型カートリッジとして使用できます。本製品は、多くのVM型カートリッジをラインナップしている同社モデルのなかでも定番のアイテム。帯域バランスがよく、音場の広がりにも優れた再生音が魅力です。

幅広い音楽ジャンルに適合し、使い勝手も良好。価格もリーズナブルなので、レコード初心者向けのカートリッジとしておすすめです。

オーディオテクニカ(audio-technica) AT-VM95E


オーディオテクニカ(audio-technica) AT-VM95E

正確な音溝トレーシング性能を持つ「接合楕円針」を採用しているのが特徴のモデル。明るく煌びやかなサウンドが持ち味の「95」シリーズで、ロックやポップスのようなノリのよい音楽にぴったりです。

針先視認性の高いデザインなので、狙った位置に針を落としやすいのもポイント。レコードを途中の曲から聴くことが多い方にもおすすめです。

スタイラスチップの構造や先端形状の異なる交換針が別売りで用意されているので、針交換による音質の変化も楽しめます。

オーディオテクニカ(audio-technica) VM540ML


オーディオテクニカ(audio-technica) VM540ML

4モデルがラインナップされている「500シリーズ」のハイエンドモデルです。針先の曲率半径が不変なため、低歪みを実現している「無垢マイクロリニア針」を搭載しているのが特徴。緻密で繊細な表現で音楽を楽しめます。

左右の音声信号の混ざり合いを改善するセンターシールドプレートにより、ステレオ感の再現性に優れているのもポイントです。高剛性樹脂ハウジングにより、使いやすさと本体の耐久性を備えています。

「500」シリーズは針先の異なる交換針に対応しており、好みで付け替えられるのも魅力。パワフルなサウンドが持ち味の無垢楕円針に替えて、ロックを楽しむといった使い方が可能です。

ナガオカ(NAGAOKA) T4P規格カートリッジ C-502M/P


ナガオカ(NAGAOKA) T4P規格カートリッジ C-502M/P

現行品では数少なくなった、Pマウント対応のT4P規格レコード用カートリッジ。Pマウント対応のレコードプレーヤーの接続部分に差し込むだけで使えます。

オーソドックスな設計により、バランスのよいサウンドが魅力。各種スペックも標準的なので、幅広いプレーヤーやアンプで安心して使えます。

レコード用カートリッジのおすすめ|MC

デノン(DENON) MC型カートリッジ DL-103


デノン(DENON) MC型カートリッジ DL-103

NHKとの共同開発によって1964年に発表されたMC型カートリッジ。55年以上にわたる超ロングセラーです。放送局用として必要な、色付けの少ない素直な再生傾向から、MC型カートリッジの原器モデルといわれています。

ジャンルを選ばないオーソドックスなサウンドも持ち味です。過酷な使用が想定される業務用設計のため、堅牢さや動作の安定性が高いのも魅力。MC型カートリッジを使用してレコード再生を行うなら、ぜひ検討してみてください。

デノン(DENON) MC型カートリッジ DL-301II


デノン(DENON) MC型カートリッジ DL-301II

1984年に発売されて以来、モデルチェンジすることなく現行販売されているロングセラーです。ジャズ・ロック・フュージョンなどのジャンルに適したエネルギッシュなサウンドを志向した「DL-301」の後継機。パンチとビートの効いた迫力サウンドが持ち味です。

世界初の4ヶ所止めを採用しているのも特徴。シェルへのより確実な固定を実現しています。また、カンチレバーを剛性を保ちながら軽量化し、振動系の動作を改善。解像度・エネルギー感・低域の締まりなどの再現力を高めています。

クラシック向けの繊細な音作りが多いMC型カートリッジながら、ポピュラーミュージックに適したパワフルなもサウンドが魅力。MM型からのステップアップを図りたいポピュラーミュージックが好きな方にもぴったりです。

オルトフォン(ortofon) SPU Classic GE MKII


オルトフォン(ortofon) SPU Classic GE MKII

レコード用カートリッジの代名詞的存在といわれるオルトフォンの「SPU」シリーズ。「SPU Classic GE MKII」は、歴史的名機とされるオリジナルの「SPU」を基に設計された現行モデルです。ひと目で「SPU」とわかる個性的なデザインと、適合するトーンアームの幅広さといった特徴を継承しています。

厚みのある芳醇なサウンドで音楽を生々しく聴かせるのが持ち味。レンジ感や解像度を追求するタイプではないため、本機と傾向の異なるカートリッジも揃えて音の違いを楽しむのもおすすめの使い方です。

オルトフォン(ortofon) MC型カートリッジ MC-Q5


オルトフォン(ortofon) MC型カートリッジ MC-Q5

上級機の技術を取り入れた、ハイスペックかつハイコスパな「MC-Q」シリーズ。なかでも本製品は内容と価格のバランスに優れた人気モデルです。

アルミカンチレバーに接合楕円針の組み合わせにより、MC型カートリッジならではの繊細な表現力を楽しめます。低音が充実した迫力あるサウンドも魅力です。

出力は0.5mVとMCカートリッジとしては高めなので、接続機器の選択肢が多いのもおすすめポイントです。

オーディオテクニカ(audio-technica) MCカートリッジ AT-OC9XML


オーディオテクニカ(audio-technica) MCカートリッジ AT-OC9XML

1987年に初代「AT-OC9」が発売された「OC9」シリーズの新しいモデルです。マイクロリニア針とボロンカンチレバーを採用し、音楽信号を忠実に読み取ります。

アルミニウムボディにより不要な振動を抑え、音の再現性を向上。PCOCC銅線をコイルに採用することで、信号の欠落を抑えた伝送も実現しています。

高級モデルにふさわしい情報量の豊かなサウンドと、力感に優れた再現性が魅力。最新録音によるレコードのような現代的な音源にぴったりです。

カートリッジ本体にビス穴を開けているのもポイント。ヘッドシェルか、シェル一体型トーンアームを2本のビスだけで取り付け可能なので、カートリッジ交換がしやすいのがメリットです。

オーディオテクニカ(audio-technica) MCカートリッジ AT33Sa


オーディオテクニカ(audio-technica) MCカートリッジ AT33Sa

オーディオテクニカのMC型カートリッジとして、はじめてシバタ針を採用したモデル。音溝とのコンタクト性に優れるシバタ針の特性により、高域の表現力に優れています。

先端に向けて径が細くなる、ボロンカンチレバーを採用。テーパー加工による振動系先端部の軽量化と、発電コイルの軽量化によりカートリッジの特性を一層改善し、ワイドレンジ性を向上させています。伝統の「AT33」シリーズが持つ、豊かで芯の強い中低域も魅力です。

シバタ針は1970年代に多く発売された4チャンネル・レコードの再生に対応しているのもポイント。4チャンネル・レコードと再生機器を所有している方にもおすすめです。

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