CPUが実行するプログラムやデータを、一時的に記憶するためのパーツである「メモリ」。アプリケーションやゲームの動作速度に影響する、重要なPCパーツです。搭載しているマザーボードの種類により、適切なメモリは異なります。
そこで今回は、おすすめのメモリを選び方とともにご紹介。メモリの増設や自作PCの組み立てなどを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
PC用メモリの選び方
メモリの規格と互換性について

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メモリには、DDRと呼ばれる規格が存在します。DDR4など複数に分かれており、それぞれ異なる形状を持つのが特徴です。例えば、メモリの接続部分にある「切り欠き」の位置が、規格ごとの相違点として挙げられます。
また、マザーボードのスロットに差し込むためのピンの数も規格によってさまざま。例えば、デスクトップPC向けメモリにおいて、DDR4のピンの数は288個です。
ピンの数に違いがあるので、DDR4のメモリに対応したマザーボードにほかの種類のモノを差し込むことはできません。異なる規格のメモリには、互換性がない点に注意しましょう。
ゲーミング用なら容量は16GB以上になるように

ゲーミング用にメモリを購入する場合は、容量が合計16GB以上ある製品を選ぶのがおすすめです。容量が不足すると、PCの動作速度が低下し、ゲームのパフォーマンスに支障をきたす恐れがあります。
また、ゲームプレイ中にボイスチャットアプリを開いたり、Webブラウザを開いたりする場合にも容量を必要とするため、快適な状態でプレイしたい方はメモリ容量に余裕を持たせておきましょう。
なお、16GBのメモリを1枚用意するよりも、8GBのメモリを2枚用意したほうが多くのデータを転送できます。より高い性能を求める方は、自分のPC環境がメモリを2枚1組でセットするデュアルチャンネル、4枚1組でセットするクアッドチャンネルなどに対応しているかもあわせて確認してみてください。
メモリクロックをチェック

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メモリクロックとは、MHzで表記されるメモリのクロック周波数のこと。数値が大きいほど、一度に転送できるデータの量も増加します。メモリクロックは、製品に記載されているチップ規格から確認可能です。
チップ規格は、「DDR○-○○○○」のような形式で記載されます。ハイフンの後ろにある数値がそのままメモリクロックとして判断できるので、「DDR4-2666」と記載されている場合のメモリクロックは、2666MHzです。
プレイするゲームや作業内容によって効果は異なりますが、フレームレートなどのパフォーマンス向上に繋がりやすいので、性能を重視する場合はメモリクロックの高い製品を選びましょう。
ヒートシンクの有無をチェック

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ヒートシンクとは、メモリが動作する際に発生した熱を吸収し、空気中へ放熱するためのパーツのこと。熱伝導率の高い金属を素材として採用することで、メモリからヒートシンクへ熱を逃がします。
メモリは、動作速度などのパフォーマンスを向上させるオーバークロックを行う場合や、PC内の空気がうまく循環できていない場合は、高温に変化します。動作が不安定になったり故障の原因になったりする恐れがあるため注意が必要です。
メモリを購入する際は、ヒートシンクが付いているか確認してみてください。ただし、ヒートシンクを搭載している分メモリの高さが増すため、ほかのパーツと干渉しないかあわせてチェックしておきましょう。
インターフェイスをチェック
デスクトップで主流な「DIMM」

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「Dual In-line Memory Module」の略称であるDIMM。誤って差し込むのを防ぐため、中央部分に切り欠きがあるほか、細長い形状なのが特徴です。主にデスクトップPCで採用されています。
製品数が多く、デザインなどのバリエーションも豊富。カバーやヒートシンク部分に装飾が施されたモノもあります。
ノートパソコンに使われる「S.O.DIMM」

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「Small Outline Dual In-line Memory Module」の略称であるS.O.DIMM。DIMMと同様に切り欠きがあるものの、本体サイズが小さく、省スペースなのが特徴です。主にノートパソコンで採用されています。
小型な性質を活かし、スリムなデスクトップPCや一体型のデスクトップPCにも搭載できるのがメリットです。
見た目にもこだわりたいなら「LED付き」がおすすめ

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鮮やかなライティングなど、PCの見た目にも気を使いたい場合は、LED付きのメモリがおすすめです。製品によっては、専用ソフトウェアで色の種類や発光パターンなどを制御できるモノもあります。
側面がガラス張りのPCケースや、PCパーツを密閉せず、むき出しの状態で組み立てるオープンフレームケースを採用している方は、外から光の具合を確認できるためぴったりです。
マザーボードのスロット数の確認も忘れずに

マザーボードには、搭載できるメモリの数に限りがあります。スロット数を超える枚数のメモリを用意しても使用できないため注意が必要です。
最大スロット数は、PCに搭載しているマザーボードのサイズによって異なります。なかには、ATXサイズのマザーボードで4個までスロットを備えているモノも存在。メモリを購入する際は、スロット数をチェックしておきましょう。
PC用メモリのおすすめメーカー
シーエフデー(CFD)

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名古屋に本社を構える、国内企業の「シーエフデー」。メモリのほか、CPUやグラフィックボードなどのPCパーツ、キーボードといったPC周辺機器も展開しています。シーエフデー以外の他社ブランド製品を取り扱っているのも特徴です。
シーエフデーのメモリは、装飾を控えたシンプルなデザインが魅力。LEDやヒートシンクを搭載していないため薄く、ほかのPCパーツへの干渉を防げます。なお、ゲーミング用など一部のメモリにはLEDやヒートシンクを搭載したモノもあるので、用途に合わせて選んでみてください。
クルーシャル(Crucial)

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「クルーシャル」は、世界的に有名なメモリメーカーMicron社が手掛けるブランドのひとつ。メモリやSSDなどのストレージを中心に開発を行っています。日本だけでなく、イタリアやドイツなど複数の国へ展開しているグローバルブランドです。
クルーシャルのメモリは、多数のテストを経ているのが特徴。高品質なため、故障が不安な方にもおすすめです。
コルセア(Corsair)

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アメリカ合衆国に本社を置く「コルセア」。PCパーツから周辺機器まで、ゲームや配信に適した製品を展開しています。eスポーツチームやコンテンツクリエイターと連携しているのが特徴です。チームに所属する選手などの対戦経験を元に、ゲーミング製品の品質向上を図っています。
コルセアのメモリは、性能を最大限引き出せるようオーバークロックに向いているモノが多いのが魅力。LEDを搭載した製品や、コンパクトなデザインを採用した製品などがあるので、見た目にこだわりたい方にもおすすめのメーカーです。
PC用メモリのおすすめ|16GB
シーエフデー(CFD) Panram DDR4-2666 デスクトップ用メモリ 8GB 2枚組 W4U2666PS-8GC19
品質に優れたDDR4規格のメモリです。8GB×2枚の構成。3000シリーズのRyzen2と2000シリーズのRyzenでの動作確認済です。メモリクロックは2666MHz。インテルの独自規格「XMP2.0」に対応しているため、簡単にオーバークロック可能です。
また、省エネ性に優れています。本製品の動作電圧は1.2Vで、従来のDDR3規格と比較して、約20%も電力消費を抑えることが可能です。
永久保証に対応しているのもポイント。使用中に不具合が生じた場合は、購入した販売店に問い合わせればサポートを受けることが可能です。相性問題による返品対応は、購入後1カ月以内と定められている点には留意しておきましょう。
クルーシャル(Crucial) DDR5-4800 UDIMM CT2K8G48C40U5
価格と性能のバランスが取れたコスパに優れているDDR5規格のメモリです。8GB×2枚の構成。DDR5は、従来のDDR4と比較してデータ転送速度の向上や安定した電力供給を実現している規格です。ただし、DDR4と互換性はなく、DDR5に対応するマザーボードのみで使用できます。
本製品は、起動時にDDR4より50%多くのデータ転送が可能です。読み込み時間やファイル転送、ダウンロードなどを高速化。Webブラウザで多くのタブを開いたり、複数のアプリを起動したりなどのマルチタスクでもスムーズな操作を行えます。
また、電力効率に優れているのも特徴のひとつです。電源制御ICを使用したオンモジュールの電圧制御機能を採用しています。従来のDDR4のオンモジュール動作電圧は1.2Vなのに対して、DDR5では1.1V。コスパを重視しながらも処理速度を向上させたい場合におすすめです。
コルセア(Corsair) VENGANCE RGB PRO SL CMH16GX4M2D3600C18W
色鮮やかなRGBライティングを楽しめるDDR4規格のメモリです。8GB×2枚の構成。RGBライティングのプロファイルが5種類搭載されており、自由に切り替えられます。コルセア独自の「iCUE ソフトウェア」にも対応。同ソフトに対応する、ほかの機器とRGBライティングを同期できます。
また、コンパクトな設計を採用。高さはわずか44mm。空冷式クーラーや小型フォームファクタと幅広い互換性があります。
メモリクロックが3600MHzと高いのもポイント。メモリが1度に送れる情報量が多いため、その分、処理速度の向上が期待できます。性能と見た目の両方を重視したい場合におすすめです。
エッセンコアクレブ(Essencore Klevv) U-DIMM STANDARD MEMORY KD48GU881-26N190D
高い機能性を有したDDR4規格のメモリです。8GB×2枚の構成。機能性を重視して製造された製品で、パソコンのパフォーマンス向上を期待可能です。ゲームや動画、音楽、画像のメディア編集などの重い負荷がかかる操作も十分にこなせる性能を有しています。
また、マザーボードの互換性が広いのも特徴のひとつです。インテルやAMDなどの主要なメーカーに対応。さらに、黒を基調としシンプルなデザインは、パソコン内部の見た目をよりクールに見せられます。処理が重い作業を多くこなしたい場合におすすめです。
キングストン(Kingston) FURY CL19 KF437C19BBAK2/16
処理速度に優れているDDR4規格のメモリです。8GB×2枚の構成。メモリクロックは3733MHzと高い数値で、フレームレートを維持しやすい性能を有しています。
また、スタイリッシュな薄型のヒートスプレッダーを搭載。ヒートシンク単体で放熱するよりも、効率よく熱を逃がせます。パソコンが持つパフォーマンスを安定して発揮可能です。
同社独自のソフトウェア「Kingston FURY CTRL」を使用して、RGBライティングを自由にカスタマイズできるのもポイント。自分の部屋やプレイするゲームの雰囲気に合わせて色合いを調節可能です。
ほかにも、BIOSで許可される最大速度まで、自動で引き上げる機能も搭載しています。BIOSとは、マザーボードに搭載されている接続機器との入出力を制御するプログラムのこと。主にゲームをプレイする場合におすすめです。
Team ELITE Plus DDR4-3200 PC4-25600 TPRD416G3200HC22DC01
赤いヒートシンクが特徴のDDR4規格メモリ。8GB×2枚の構成です。冷却性能が高いアルミニウム製のヒートシンクを搭載しており、安定したパフォーマンスを発揮できるのがポイント。半導体部品の世界標準規格「JEDEC規格」に準拠しています。
メモリクロックは3200MHz。従来モデルの「DDR3-1866」と比べると、帯域幅のパフォーマンスが12.35%向上しています。動作電圧は1.2Vと消費電力を大幅に減らせるため、省エネなのもポイント。製品の放熱を抑えられます。
日本国内に支社があり、永久保証を受けられるのも魅力。自然故障の場合は購入履歴を提示すれば、新品または同等品と交換できます。ヒートシンクを備えたモデルとしては価格が安く、コスパ重視の方におすすめです。
PC用メモリのおすすめ|32GB
シーエフデー(CFD) CFD Selection メモリ スタンダードシリーズ W5U4800CM-16GS
データ転送速度の高速化を期待できるDDR5規格のメモリです。アプリケーションの読込時間やファイル転送時間の短縮が期待できます。ただし、DDR5規格のメモリは、DDR5に対応するマザーボードでしか使用できません。
また、省電力性に優れています。DDR4の動作電圧1.2Vより電源効率が向上した1.1Vの動作電圧を実現。電力使用量を抑えて、高いパフォーマンスを発揮します。DDR5に対応するマザーボードを使用しており、処理速度を向上させたい方におすすめです。
クルーシャル(Crucial) 32GB Kit (2×16GB) DDR4-3200 UDIMM CT2K16G4DFRA32A
クルーシャルのスタンダードモデルで、DDR4規格のなかで人気の高いメモリ。16GBのモジュールが2枚セットの32GBデュアルチャンネルキットで、JEDEC規格に準拠しています。ヒートシンクは付いていませんが、薄型で取り付けしやすいのがポイントです。
メモリクロックは3200MHzと高く、帯域幅が25600MB/sと大きいため、一度に多くのデータを転送できます。制限付永久保証が付いているのもポイント。安定性が高くコスパも良好で、自作PCの初心者にもおすすめのモデルです。
コルセア(Corsair) VENGEANCE LPX CMK32GX4M2E3200C16
安定して高いパフォーマンスを発揮できるDDR4規格のメモリです。16GB×2枚の構成。オーバークロックの使用を想定した設計を採用しています。アルミ製のヒートスプレッダーを搭載しており、性能を引き上げるオーバークロック時でも短時間で熱を逃がすことが可能です。
また、インテルの独自規格であるXMP2.0に対応しています。自動的にデータ転送速度を引き上げるため、高い処理性能を実現可能です。
さらに、コンパクトなデザインを採用。小型で内部空間が十分にないPCケースでも設置しやすいという特徴があります。オーバークロックを使用して、パソコンの処理性能を引き上げたい方におすすめです。
コルセア(Corsair) VENGEANCE RGB RT CMN32GX4M4Z3200C16W
色鮮やかなRGBライティングと優れた処理速度が特徴のDDR4規格のメモリです。8GB×4枚の構成。カスタマイズ可能なRGBライティングで、どの角度からでも綺麗なLEDを楽しめます。同社独自のソフトウェア「CORSAIR iCUE」に対応しており、ほかのCORSAIR RGB製品と同期することも可能です。
また、素早い処理速度を実現するための設計を採用。厳選されたメモリチップとカスタム基板を使用しており、高いパフォーマンスおよび安定性を有しています。
簡単にオーバークロックできるのもポイント。接続機器との入出力を制御するプログラム「BIOS」で設定する必要がなく、取り付けてすぐに仕様通りのスピードで動作できます。
エッセンコアクレブ(Essencore Klevv) BOLT Xシリーズ KD4AGU880-36A180U
素早いデータ転送速度を有しているDDR4規格のメモリです。16GB×2枚の構成。メモリクロックは3600MHzと高く、一度に多くのデータ量を転送できます。
また、インテルの独自規格であるXMP2.0に対応。性能を引き上げられる「オーバークロック」を簡単に設定可能です。アルミニウム製のヒートシンクを採用しているため、オーバークロック時でもしっかりと冷やします。安定したパフォーマンスが期待できます。
さらに、シンプルでモダンなデザインを採用。透明のPCケースから覗く本製品は、落ち着きのある高級感があります。主にゲームをプレイしたい場合におすすめです。
Team VULCAN DDR5 DESKTOP MEMORY FLRD532G5200HC40CDC01
DDR5規格の同容量のメモリのなかではリーズナブルで、高い機能性を有している製品です。16GB×2枚の構成。メモリクロックは5200MHzと高い数値で、一度に多くのデータ量を転送できます。ただし、DDR5に対応したマザーボードでのみ使用可能です。
また、比較的新しいインテルの独自規格「XMP3.0」に対応。オーバークロックをスムーズかつ迅速に使用できます。放熱用シリコンを使用しており、効率的な熱伝導を実現。高いパフォーマンスが発揮できる温度に維持します。主にゲームや動画編集などの高負荷の作業を行いたい場合におすすめです。
PC用メモリのおすすめ|ノートパソコン用
クルーシャル(Crucial) DDR4-3200 SODIMM CT16G4SFRA32A
システムを高速化させてスムーズな動作を実現するDDR4規格のメモリです。16GB×1枚の構成。メモリクロックが3200MHzと高いため、一度に多くの情報を転送できます。
また、複数のアプリケーションを起動しながら作業しても、動作がカクつきにくく、ストレスを感じにくい設計です。頻繁にマルチタスクを行う場合に重宝します。
データ処理の要求に対してメモリが応答するまでの速度を示すスペック「メモリタイミング」がCL22と優れているのもポイント。メモリタイミングが優れているほど、遅延が抑えられます。とにかくパソコンの処理性能を引き上げたい場合におすすめです。
パトリオット(PATRIOT) ノートパソコン用メモリ PSD432G32002S
リーズナブルながら処理速度に優れたDDR4規格のメモリです。16GB×2枚の構成。メモリクロックが3200MHzと高く、スムーズなデータ処理が期待できます。また、インテルの独自規格であるXMP2.0に対応。簡単にオーバークロックを実行できます。
信頼性が高いのもポイント。同社は32年以上の歴史があるアメリカのメーカーとして知られています。安価で信頼性および処理性能が高い製品を探している場合におすすめです。
シリコンパワー(Silicon-Power) DDR4 SODIMM SP008GBSFU320B02
システムの高速化とスムーズな動作に貢献するDDR4規格のメモリです。メモリ速度は、3200MT/sで業界最速を謳っています。DDR3規格と比較して、最大2倍の速度を有しており、アプリのロード時間および応答性の向上が期待できるのが魅力です。
また、高いデータ転送機能を有しながらも、省エネ性に優れています。加えて、高い放熱性も兼ね備えているため、温度の過剰上昇が起こりにくく、システムハードウェアの寿命延長にも効果的。データの転送速度や省エネ性・放熱性を重視したい方におすすめです。
PC用のメモリは、容量に余裕があれば、複数のアプリケーションを起動させても快適な動作速度で作業を進められます。ゲーミング用なら、合計16GB以上の製品がおすすめ。自分のPC環境に適した規格かどうかもチェックしつつ、ぴったりのメモリを選んでみてください。