ゼニスと言われて腕時計を連想する人がどれほどいらっしゃるでしょうか。日本ではあまりメジャーネームではありませんね。でも、すべてのパーツを自社生産する数少ない機械式時計メーカーで、ナンバーワンメーカーと称する人は少なくありません。ゼニスは今から46年も前に、1時間に36,000振動(1秒間に10振動)という他社にはできなかったムーブメントの製作に成功しました。ロレックスの最高級クロノグラフであるデイトナ用のベースムーブに採用されたことがその信頼性の証。そんな素晴らしいゼニスの腕時計を、ランキング形式で歴史と共にご紹介します。
第1位 クロノマスター オープン 1969 エルプリメロ
エルプリメロとは、エスペラント語で“1番”という意味です。1969年、世界で初めてとなる自動巻クロノグラフの量産に成功しました。しかも36,000振動というとんでもないムーブメント。当初このムーブメントに付けられた1番の名は、そのままモデル名としても採用されました。ほぼ半世紀の時を超えても基本設計は変わっていおらず、言い換えれば、それほど完成されたムーブメントだったということでもあります。現行モデルは“オープン”という名の通り、大きめにくり抜かれた穴から、機械の動きを見ることができます。
第2位 ストラトス エル・プリメロ フライバック レインボー
ゼニスと言えばフライバック、という人もいらっしゃるでしょう。通常、クロノグラフはスタート→ストップ→リセットしなければ再計測できません。これをワンプッシュで行えるのがフライバック機構。ゼニスはこの複雑な機構をエルプリメロで実現しました。ゼニスにとってフライバックは欠かせないモデルです。
第3位 エルプリメロ410 シャルルベルモ
華々しいデビューを飾ったエルプリメロですが、すぐにクォーツショックに襲われ活路を絶たれます。ゼニス社はアメリカのラジオメーカーに買い取られ、機械式時計の製作道具と図面の破棄を命じられます。その命に背き、道具と図面を屋根裏へ隠し、後にエルプリメロを復活させたのがシャルルベルモ。彼の偉業を称えて限定生産されたトリビュートモデルです。
第4位 パイロットタイプ20GMT1903
フランス航空界のパイオニアであるルイ・ブレリオが使用していたモデルの復刻であるパイロット アエロネフ タイプ20 GMT。中でもこのパイロット タイプ20GMT 1903は、1903年に有人飛行に成功したライト兄弟に捧げたリミテッドモデル。限定数も1903本です。ケース裏には、ライト兄弟が開発したライトフライヤー号が刻印されています。
第5位 キャプテン エルプリメロ
ゼニスが数々の賞を獲得した1950~60年代。当時のペットネーム「キャプテン」の名を復活させたシリーズの最高峰。クロノグラフでありながらすっきりとしたデザインは、その年代を思わせるクラシカルなもの。モダンと伝統を感じさせるモデルになっています。
第6位 ゼニス エルプリメロ シノプシス
クロノグラフの最高峰ムーブメントであるエルプリメロからクロノグラフを外した異端児。なんとも贅沢な仕様ですが、オープンウィンドから覗かせているムーブメントは、しっかりとエルプリメロであることを主張しています。
第7位 クラス エリート オートマティック ウルトラシン
エリートは、エルプリメロをベースにクロノグラフを外してコンパクトに再設計されたムーブメントです。端正な顔立ちはどんなシーンにも違和感なく溶け込んでくれるでしょう。“ウルトラシン”とは“超薄型”という意味で、ケースの厚みは7.6mmしかありません。9時位置にスモールセコンドがあるのはエルプリメロの名残ですね。放射状にサテン仕上げされた文字盤とクサビ型のインデックスが、クラシカルで上品な雰囲気を醸し出しています。
スイスの時計メーカーの中でも最高峰の技術集団であるゼニス社。クォーツショックの波にのまれながらも復活を果たし、今や屈指の高級時計メーカーとなりました。今回紹介した以外にもたくさんのモデルがありますが、ゼニスの技術力とその歴史を象徴するモデルを選んでみました。一生ものとなり得る1本に巡り会えるといいですね。