バンドに熱中する人々の姿を多彩な角度から描いた「バンド漫画」。プロとしての成功を追い求めていく本格的な内容のモノから、軽音部の活動ぶりに焦点を当てた日常系のモノまで、バンド漫画といっても物語の傾向は多岐にわたります。
今回は、そんなバンド漫画のおすすめ作品をご紹介。80・90年代のバンドシーンを感じられるような名作から最近の話題作まで取り上げたので、ぜひ新たなお気に入りを探してみてください。
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バンド漫画のおすすめ|人気作品
BECK
講談社 著者:ハロルド作石 全34巻完結
1999〜2008年にかけて「月刊少年マガジン」で連載されていた、バンド漫画の金字塔的名作。平凡な中学生がバンド活動にのめり込んでいく熱い青春模様を描き、第26回講談社漫画賞を受賞しました。数々のメディアミックス展開もされています。
14歳の田中幸雄(コユキ)は、退屈な日常を変えたいと願いながら日々を過ごしていました。そんなある日、道で犬を助けたことをきっかけに出会ったのが、天才ギタリスト・南竜介。コユキは竜介に才能を見出され、ロックバンド「BECK」へと加入することになります。
偶然にも音楽の世界と巡りあった平凡な少年の、等身大の挫折や成長がバンド活動を通して熱く表現されているのが見どころ。多くの作家やバンドマンにも影響を与えたバンド漫画としてチェックしておきたい、おすすめの傑作です。
ぼっち・ざ・ろっく!
芳文社 著者:はまじあき 既刊7巻
ライブハウスを拠点に、バンドとして大きく成長していく女子高生たちの姿を追いかける4コマ漫画。2022年にアニメ化され、爆発的な人気を獲得しました。2024年には劇場総集編の公開や舞台化などもされた、最近のバンド漫画の大ヒット作です。
ギターを愛するも、コミュニケーション能力に難がある高校生・後藤ひとり。誰ともバンドを組んだことがないまま、孤独にギターの腕を磨き続けてきました。そんな彼女が、ひょんなことから伊地知虹夏が率いる「結束バンド」のサポートギターを務めることになるのです。
多大な青春コンプレックスを抱えた人見知りのひとりが、バンド活動を通して少しずつ広い世界に足を踏み出していく様が見どころ。ライブハウスやインディーズバンドのリアルな裏側もコミカルに描かれます。話題のアニメの原作漫画として、ぜひ表現の違いを見比べてみてください。
ソラニン
小学館 著者:浅野いにお 全2巻完結
大学卒業後に現実と自己実現の間で揺らぐ若者たちの姿を描き、”ゼロ年代青春漫画の金字塔”と評されたバンド漫画の傑作。2005〜2006年にかけて「週刊ヤングサンデー」で連載され、2010年の実写映画化でも同名の主題歌とともに大きな話題を集めました。
大学を卒業後、OA機器メーカーに勤めていた井上芽衣子は”わたしは社会人には向いていない”という実感を持ちはじめます。とはいえ、自分には特別な才能はないと自覚もしており、人生のレールを外れる勇気は持てていませんでしたが……。
そんな芽衣子と、同棲する恋人のバンドマン・種田の2人が織りなす、楽しくも切ない恋を描いた物語。夢と現実の狭間で悩むインディーズバンドの青臭い青春模様が、多くの読者の共感を呼びました。人間の内面を巧みに描いたバンド漫画が読みたい方に、まずおすすめの名作です。
・小学館 新装版 全1巻完結
けいおん!
芳文社 著者:かきふらい 全4巻完結
アニメ化によって話題を集め、バンドブームやギターブームなどの社会現象を巻き起こしたゆるふわ系バンド漫画の人気作。2012年まで「まんがタイムきらら」などで連載され、全4巻で完結しています。
高校入学をきっかけに、廃部間近の軽音部に入部した平沢唯。全くの楽器初心者である唯を含む4人の部員たちは、なんとか軽音部としての活動をスタートさせます。海合宿に出掛けてみたり、顧問を探してみたりと、彼女たちの活動はいたってゆるやかで……。
個性豊かでかわいい女子高生たちの、ほのぼのとした軽音部ライフが4コマ形式でコミカルに描かれます。女子高生のリアルな放課後の日常を覗き見るような感覚で楽しめるのが魅力。バンドに詳しくなくとも日常系部活モノとして読みやすい、おすすめのバンド漫画です。
デトロイト・メタル・シティ
白泉社 著者:若杉公徳 全10巻完結
デスメタルバンドを軸に、カリスマボーカリストの苦悩の日々を追いかけるギャグテイストなバンド漫画です。「ヤングアニマル」にて連載され、全10巻で完結。実写映画化もされるなど、カルト的人気を獲得しました。
根岸崇一は、デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」のギターボーカリスト・ヨハネ・クラウザーII世として活動中。過激な歌詞とパフォーマンスで熱狂的な信者を獲得しています。しかし、このバンド活動には根岸の意思と大きな食い違いがありました。
おしゃれなミュージシャンを志していた根岸が、悪魔系バンドマンとして思いがけない才能を開花させていく様が本作品の見どころ。理想と現実の違いに苦しめられながらも奮闘する根岸の、哀愁ただよう姿に思わず笑いが込み上げるおすすめのバンド漫画です。
TO-Y
小学館 著者:上條淳士 全10巻完結
80年代に「週刊少年サンデー」で連載され、漫画界に衝撃を与えたバンド漫画の革命的名作。ボーカリストの天才少年が芸能界でのし上がっていく様を描いた物語です。のちの多くの音楽漫画やミュージシャンに影響をもたらした作品とされています。
16歳の美少年・藤井冬威(トーイ)は、インディーズのパンクバンド「GASP」のボーカル。ライブハウスでの不祥事によって活動停止中にありました。そんなある日、トーイのガールフレンドで歌手の森ヶ丘園子が、有名歌手のステージの乗っ取り計画を企てるのです。
あえて歌詞を書かず、表情や動きでライブの臨場感を表現した手法が、当時の音楽漫画の常識を覆しました。さまざまな思惑が渦巻く芸能界で、型破りなトーイがどのようにスターの道を駆け上がっていくのかが見どころ。80年代の空気感を感じられる、スタイリッシュなバンド漫画です。
・小学館 完全版 全5巻完結
バンド漫画のおすすめ|少年・青年漫画
SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん
スクウェア・エニックス 作画:長田悠幸 原作:町田一八 既刊23巻
ギターを愛する「ジミ」な高校教師が、自らの夢と命を賭けてバンドで伝説を作るために奮闘する、新感覚のバンド漫画です。2013年から「月刊ビッグガンガン」で連載されています。
27歳になったばかりの高校英語教師・本田紫織に、アフロヘアの「ヘン」なおじさんの幽霊が取り憑くところから物語はスタート。世界的に有名なギタリストだというおじさんは、”27歳が終わるまでに音楽で伝説を残さなければ死ぬ”という契約を紫織と結んでしまいます。
契約によって超絶技巧のギターテクニックを授けられた紫織が、タイムリミットがあるなかで、かつて諦めた夢を再び追いかける一風変わった青春ストーリー。音圧を感じられるような、漫画ならではの奇想天外な演奏表現も高い評価を得ているおすすめのバンド漫画です。
ふつうの軽音部
集英社 原作:クワハリ 作画:出内テツオ 既刊4巻
軽音部に入部した女子高生たちの等身大の青春を描いた、おすすめのバンド漫画。Web漫画投稿サイト「ジャンプルーキー!」での連載から話題を集め、2024年に「少年ジャンプ+」にて本格連載化。次にくるマンガ大賞2024ではWebマンガ部門1位に輝きました。
少し上の世代の邦ロックが好きな高校1年生・鳩野ちひろは、憧れのギターを買い、念願だった軽音部に入部します。しかし、軽音部の内情や個性豊かな部員たちに困惑するちひろ。誘ってくれた同級生とともにバンドを結成しますが……。
軽音部あるあるがコメディータッチで描かれる本作品。楽器初心者・ちひろの成長を追うだけでなく、リアルな悩みや衝動を抱える高校生たちの群像劇としても読み応えがあります。最近のバンド漫画の注目作が読みたい方におすすめの1作です。
ハレルヤオーバードライブ!
小学館 著者:高田康太郎 全15巻完結
軽音部が禁止された高校を舞台に、隠れながらバンド活動に邁進する軽音部員たちの青春模様を描いたバンド漫画です。2009年に「ゲッサン」で連載開始され、2015年に全15巻で完結しました。
中学の卒業式の日、好きな女子に自作の曲で告白したものの、拒否されるという苦い経験を持つ朝桜小雨。高校ではかっこいいバンドを組んで見返したいと思っていたものの、入学先の高校では軽音部が禁止されていたのです。
そんな高校で「金属理化学研究部」と正体を偽りながら活動する軽音部の部員たち。彼らと小雨の青くて爽やかなバンドライフが、甘酸っぱい恋愛模様を交えながら描かれます。正統派の熱血部活ストーリーが好きな方にもおすすめの1作です。
バジーノイズ
小学館 著者:むつき潤 全5巻完結
2024年に実写映画化された、シティポップ系バンド漫画。「週刊ビッグコミックスピリッツ」での連載開始直後からSNSで注目を集めた話題作です。2020年に全5巻で完結しています。
主人公の青年・清澄はひたすらに音楽だけを愛し、マンションで住み込みの管理人として生活しているミニマリスト。そんな彼が出会ったのは、バンドマンの恋人を持つ音楽好きの女性・潮でした。彼女との出会いを通して、閉じられていた清澄の世界が大きく変わりはじめます。
たった1人で音楽作りを完結させていた清澄が、人との出会いを通して世の中に心を開き、変化していく過程をていねいに描いているのがおすすめポイント。パソコンでの曲作りやSNSに関連する音楽業界の裏側など、現代的な価値観や視点が多く盛り込まれたバンド漫画です。
ロックは淑女の嗜みでして
白泉社 著者:福田宏 既刊5巻
淑女が集う女学園を舞台に、華麗なお嬢様たちが熱く激しいインストロックを奏でる様を描いたおすすめのバンド漫画です。「ヤングアニマル」にて連載中で、2025年にアニメ化も予定されています。
親の再婚がきっかけで全国から一流のお嬢様だけが通う女学校に入学した鈴ノ宮りりさは、元庶民の一面を隠しながら窮屈な学園生活を強いられていました。そんなある日、旧校舎から聞こえてきた音に引き寄せられると、そこにはドラムを叩くお嬢様・黒鉄音羽の姿があり……。
お嬢様らしく振る舞うためにギターと素顔を捨てて生きていたりりさが、親の目を盗みながらバンド活動に青春を捧げる熱血バンド漫画。ボーカルはおらず、それぞれの楽器の演奏でバトルのようにぶつかり合うお嬢様たちの、ダイナミックな演奏描写にも注目してみてください。
ネムルバカ
徳間書店 著者:石黒正数 全1巻完結
『それでも町は廻っている』『天国大魔境』など、数々の名作を手掛けた石黒正数の青春バンド漫画です。2025年に実写映画の公開も予定されている注目作。バンドマンとしての夢を追いかける大学生と同居人の日常が連作短編のように描かれます。
物語の中心は、大学の女子寮のルームメイトである女子大生2人。バンド活動に打ち込んでいる先輩はいつも金欠で、一方の後輩は特に熱中するモノもなく古本屋でバイトする日々を送っています。ぬるま湯のような大学生活は一体どこへと向かうのでしょうか。
先が見えないなかでもがくバンドマンの焦燥感や、やりたいことがない大学生の漠然とした将来への不安感が、コミカルな展開のなかに巧みに盛り込まれています。何気なく日々を生きている人々の、胸を突くような鋭いセリフの数々も魅力的な、おすすめのバンド漫画です。
バンド漫画のおすすめ|少女・女性漫画
NANA ーナナー
集英社 著者:矢沢あい 既刊21巻
同じ「ナナ」という名を持つ2人の少女の生き様をパンクロックバンドとともに描いた、バンド漫画の大ヒット作品。”革命的少女漫画”とも評され、第48回小学館漫画賞を受賞しました。休載している現在も世界各国で熱狂的な支持を得ている傑作です。
恋愛を最優先に生きる小松奈々(ハチ)と、恋人と別れてまでボーカリストとしての成功を夢見る大崎ナナ。互いに上京する新幹線の中で運命的に出会った正反対のハチとナナが繰り広げる、切ない恋と夢の行く末を追いかける物語です。
それぞれの理想と幸せのために揺れ動く心情やシビアな現実が、生々しく描かれているのがおすすめポイント。ナナをはじめ、登場人物たちの印象的な衣装やスタイリッシュな世界観も多くの読者に影響を与えたカリスマ的バンド漫画です。
カノジョは嘘を愛しすぎてる
小学館 著者:青木琴美 全22巻完結
嘘からはじまる恋と音楽業界の闇を巧みに絡めて描き、第59回小学館漫画賞に輝いたバンド漫画の秀作です。著者は『僕の初恋をキミに捧ぐ』などのヒット作で有名な青木琴美。「カノ嘘」の愛称で親しまれ、日本だけでなく韓国でも実写化されました。
偶然出会った男性にナンパされた女子高生・小枝理子。彼の鼻歌の旋律を聴き惚れた理子は、素性もよく知らないままに付き合いはじめます。実は彼は、理子が大ファンである人気バンド「CRUDE PLAY」の元メンバー・小笠原秋だったのです。
音楽に嫌気がさしていた天才作曲家と、音楽の世界に飛び込んでいく純粋な女子高生が織りなす、不器用な青春ラブストーリー。音楽業界の生々しい裏側にも触れるドラマチックなストーリーが音楽関係者の間でも話題を呼んだ、おすすめのバンド漫画です。
覆面系ノイズ
白泉社 著者:福山リョウコ 全18巻完結
「音楽×片恋」をテーマに、さまざまな片想いが入り乱れる切ないラブストーリーを描いた1作。2010年代を代表するバンド漫画のひとつとして、アニメ化や実写映画化もされた人気作です。「花とゆめ」で連載され、2019年に完結しています。
歌うことが大好きな少女・ニノは、一家で行方がわからなくなった幼なじみの少年・モモに恋心を抱いていました。そんな日々のなかで出会った曲作りをする少年・ユズもまた、ニノの前から去ってしまいます。2人に再会するために歌い続けるニノの声は届くのでしょうか。
言葉にできない思いを音楽に乗せて昇華している高校生たちの、ひりつくような青春模様が描かれます。正体を隠した覆面バンドとして、ニノたちがどのように活動していくのかも見どころ。先の読めない片想い関係に心揺さぶられる読者も多い、おすすめのバンド漫画です。
夢と現実との違いに葛藤する姿や濃密な人間ドラマなど、表現者の内面を魅力的に描いた作品が多いのがバンド漫画の魅力。漫画から楽器の音やボーカルの声が聴こえてくるような、各作品が趣向を凝らした作画表現に注目してみるのもおすすめです。時代を経ても色あせない名作が揃っているので、ぜひ読み比べてみてください。