演技に打ち込む人々の姿に心揺さぶられる「演劇漫画」。演劇をはじめとする、演技の世界の生々しい舞台裏を垣間見られるのが魅力です。プロの演劇以外にも、高校演劇や歌劇などを題材にした多彩な作品が展開されています。
今回は、そんな演劇漫画のおすすめをご紹介。長年愛され続ける名作から、映像化された人気作までピックアップしました。演劇を観たことがない方が楽しめる作品もあるので、ぜひチェックしてみてください。
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。
演劇漫画のおすすめ
累
講談社 著者:松浦だるま 全14巻完結
醜い容姿を持つ少女が、演技の世界でのし上がっていく様を描いたサスペンスミステリー。2013〜2018年まで「イブニング」で連載されていた演劇漫画です。累計230万部を突破し、2018年には実写映画化もされています。
醜い容姿に大きなコンプレックスを抱え、周囲からも辛いいじめを受けてきた少女・累。「伝説の女優」とも称された美しい母がそんな娘に遺したのは、1本の口紅でした。その口紅は、口付けをすることで他人の顔を奪えるという不思議な力を宿していたのです。
美醜をテーマにしている本作品。天才的な演技の才能を持つものの、容姿のせいで虐げられてきた累が、口紅の力で偽りの人生をどのように歩んでいくのかが見どころになっています。容姿について突き詰めた、ダークな演劇漫画が読みたい方におすすめの1作です。
かげきしょうじょ!! シーズンゼロ
白泉社 著者:斉木久美子 全2巻完結
女性のみで構成される歌劇団の養成学校で繰り広げられる、少女たちの熱い青春模様を描いた演劇漫画です。現在「MELODY」で連載中の『かげきしょうじょ!!』の前日譚にあたります。時系列や前提知識が繋がっているため、本作品から読むのがおすすめです。
大正時代に創設された伝統ある「紅華歌劇団」。入団するには、未来の団員を育成する紅華歌劇音楽学校を卒業しなければなりません。天真爛漫な主人公・渡辺さらさもまた、憧れの男役スターになるため、第100期生として紅華の門をくぐります。
アニメ化のほか、2023年に舞台化もされた演劇漫画の人気作。夢の舞台に立つために切磋琢磨し、さまざまな葛藤と苦悩を乗り越えていく少女たちの群像劇が描かれます。女性のみという特殊な歌劇団と、音楽学校の裏側をのぞいてみたい方は、ぜひ手に取ってみてください。
ガラスの仮面
白泉社 著者:美内すずえ 既刊49巻
演劇に情熱を注ぐ少女の生き様を追いかける、演劇大河ロマン。1975年に「花とゆめ」で連載開始され、累計部数5000万部を超える大ヒット作品になりました。舞台化のほか、たびたび映像化もされている演劇漫画の金字塔的名作です。
主人公・北島マヤは、芝居を観るのが大好きな平凡な少女。ある日、伝説の大女優・月影千草に演技の才能を見出され、マヤは演劇の世界へと足を踏み入れました。幻の名作劇『紅天女』の主役をめぐり、ライバルとの壮絶な戦いが幕を開けます。
演劇に己のすべてを賭ける天才少女・マヤが、女優として成長していく姿が多くの読者を魅了しました。迫力あふれる演技描写や魅力的な登場人物、本格的な劇中劇のストーリーなど、見どころが多数。演劇漫画の傑作として読んでおきたい、おすすめの1作です。
・白泉社 文庫版 既刊27巻
ダブル
ヒーローズ 著者:野田彩子 既刊5巻
世界一を目指す2人の役者の、歪で危うい関係性を描いた演劇漫画です。2019年からWebで配信連載され、第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。ドラマ化や舞台化もされています。
主人公は、同じ劇団に所属する無名の役者・鴨島友仁と宝田多家良の2人。安アパートの隣部屋に住み、共同生活同然の暮らしを送っています。多家良の天才的な演技力を世間に知らしめるため、友仁は多家良の生活から役者業まで献身的に支えていました。
一方で、自身も世界一の役者になるという夢を追い続ける友仁。そんななか、次第に周囲の人々は多家良の才能に気がついていきます。
演技の天才でありながら、友仁の支えがなければ生きていけない危うさを持つ多家良。彼の出世とともに2人の共依存関係がどうなっていくのか、先の読めないヒリヒリとするような展開を楽しめます。演劇・映像の現場のリアルを知れる演劇漫画としてもおすすめです。
Wジュリエット
白泉社 著者:絵夢羅 全14巻完結
男勝りな女子高生と、女装した訳あり男子高校生が織りなす演劇ラブコメディー。「花とゆめステップ増刊」に掲載された読み切り作品が高い評価を集め、2002年まで「花とゆめ」で連載されていました。続編も連載されている演劇漫画の人気作です。
高身長で運動神経抜群のイケメン女子・三浦糸の所属する演劇部は、廃部寸前の危機にありました。そんな演劇部に入部してきたのは、ずば抜けた美貌を持つ転校生・成田真琴。2人は意気投合しますが、ひょんなことから糸は真琴が男であることを知ってしまうのです。
役者になるために、女子生徒の演技をして学生生活を送らなければならない真琴。その秘密を守るために、糸と真琴が協力しながら絆を強めていく様が描かれます。役者を目指す男女の、一風変わった逆転カップルストーリーが気になる方におすすめの演劇漫画です。
マチネとソワレ
小学館 著者:大須賀めぐみ 既刊14巻
天才役者の弟による逆襲劇を描いた演劇漫画です。著者は『魔王 JUVENILE REMIX』などを手がけた大須賀めぐみ。2016年から「ゲッサン」にて連載されています。
舞台の上が唯一、自分の生を実感できる場所と信じているかけ出しの舞台俳優・三ツ谷誠。しかし、常に天才役者の兄・御幸と比べられ、5年前に死んだ兄の代替役として見られる日々を送っています。そんなある日、誠は兄が生きているパラレルワールドに迷い込んでしまい……。
生々しく強烈な自己顕示欲を抱える誠が、役者としての自分の実力を世間に証明し、改めて兄を越えるために奮闘する様が描かれます。舞台や演劇の世界に命を捧げた人々の、ドラマチックで狂気的なまでの演技バトルが見たい方におすすめの演劇漫画です。
まくむすび
集英社 著者:保谷伸 全5巻完結
高校演劇に青春を捧げる女子高生たちの姿を描いた、爽やかな青春群像劇。「週刊ヤングジャンプ」や「となりのヤングジャンプ」で連載されていた演劇漫画です。マンガ大賞2020にノミネートなどもされています。
仙台星見高校に入学したばかりの土暮咲良は、かつて漫画を描くことが好きだった女子高生。しかし、あることがきっかけで創作活動を諦めかけていました。そんなある日、処分しようと思っていた自作の漫画ノートが、誤って演劇部の手に渡ってしまうのです。
廃部寸前の高校演劇部を舞台に、さまざまな形で創作に関わる女子高生たちの苦悩や感動が描かれます。演劇の仕組みや見方、楽しみ方がわかりやすく表現されているのもポイント。高校演劇に興味がある方だけでなく、演劇に詳しくない方にもおすすめの演劇漫画です。
スキップ・ビート!
白泉社 著者:仲村佳樹 既刊49巻
幼なじみを見返すために芸能界入りした少女が、次第に芝居の面白さに目覚めていく様を描いた演劇漫画。2002年から「花とゆめ」で連載されている長寿作品です。アニメ化・ゲーム化のほか、台湾でもテレビドラマ化され、累計部数は1400万部を突破しています。
おしゃれもせず、毎日掛け持ちのバイトに励む少女・最上キョーコには、1つの秘密がありました。それは、幼なじみで人気急上昇中の歌手・不破尚と同居していること。しかし、あることをきっかけにキョーコは尚の裏切りを知ってしまい……。
キョーコの復讐心から始まる本作品。芸能界で演技に目覚めたキョーコの成長はもちろん、ドキドキするような恋模様からも目が離せません。少女漫画ながら、男女問わず高い人気を有する、おすすめの演劇漫画です。
ブタイゼミ
講談社 著者:みかわ絵子 全2巻完結
社会人演劇をテーマに、「何か」を探す青年と天才女優が織りなす青春を描いたおすすめ作品。2024年4月にアニメ化される『忘却バッテリー』の著者・みかわ絵子が手がけた演劇漫画です。
日々「何か」を探しながら生きる、空っぽな青年・千石今日太。ティッシュ配りのバイトに勤しんでいたある日、街角で舞台の劇団員だという如月今日子に団員として勧誘されます。どこか異様な雰囲気を持つ彼女は、演じることしかできない天才女優で……。
一風変わった感性を持つ2人の、熱量あふれる演技描写に引き込まれたという読者も多い1作。謎めいた雰囲気を放つ如月今日子には、一体どのような秘密が隠されているのでしょうか。ぜひ一気読みして確かめてみてください。
崖際のワルツ 椎名うみ作品集
講談社 著者:椎名うみ 全1巻完結
『青野くんに触りたいから死にたい』の著者・椎名うみのデビュー作や読み切りをまとめた、3編からなる短編集です。表題作『崖際のワルツ』は、高校の演劇部で繰り広げられる濃密な日常の1コマを描いています。
高校に入学し、演劇部に入った五反田律が出会ったのは、驚くような美少女・西園寺華。しかし、華は壊滅的なまでに演技の才能がありませんでした。周囲が華の棒読み演技を馬鹿にするなか、華に興味を持った律は寸劇のペアに華を指名するのです。
理性と感情がせめぎあい、個性がぶつかる演劇ならではの臨場感が、巧みに表現されているのがポイント。表題作以外にも、「空気を読む」ことに対する重圧や違和感を投げかけるような短編が収録されています。深く考えさせられる演劇漫画が読みたい方におすすめです。
演劇に情熱を注ぐ人々の姿が胸を打つ演劇漫画。無名の役者がのし上がっていく様を応援する感覚で楽しめたり、才能に葛藤する心の動きに共感できたりと、演劇漫画ならではの人間ドラマを堪能できます。演劇の楽しみ方がわからないという方の入門書としてもおすすめ。ぜひ気になるあらすじのモノから手に取ってみてください。