特定の時代を掘り下げ、ドラマチックな出来事を魅力的な物語にした「歴史漫画」。史実をもとにした面白いストーリーはもちろん、それぞれの時代背景を勉強できるのも特徴です。

そこで本記事では、おすすめの歴史漫画をご紹介していきます。王道の人気作品を筆頭に、扱う時代を日本史、中国史、西洋史・ヨーロッパ史に分けてご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
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• 目次
• 歴史漫画のおすすめ｜王道・人気作品
• 歴史漫画のおすすめ｜日本史
• 歴史漫画のおすすめ｜中国史
• 歴史漫画のおすすめ｜西洋史・ヨーロッパ史
• 【番外編】日本史や世界史を学べる学習漫画も

歴史漫画のおすすめ｜王道・人気作品

キングダム

集英社 著者：原泰久 既刊70巻

古代中華で活躍する後の大将軍を追う、戦国大河ロマンを詰め込んだアクション漫画です。第17回手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞し、アニメ化はもちろん実写映画や舞台も大ヒットした本作品。2023年11月発売の単行本70巻にて、集英社の青年誌史上初の累計発行部数1億部も突破しています。

紀元前の、春秋戦国時代。1度も統一されたことがない中華は、動乱の時代に突入していました。秦国で奴隷のような扱いを受ける信と漂は、いつか天下の大将軍になると夢見る少年です。そんな2人と秦国大臣の出会いから、物語は動き始めます。

虐げられていた少年が、力でのしあがる姿を描いています。成りあがりにロマンを感じ、ワクワクできると評価が高い作品です。また、戦をテーマにしているので、過酷で泣けるエピソードが多いのも特徴。泣ける歴史漫画の名作を読みたい方に、おすすめです。

大奥

白泉社 著者：よしながふみ 全19巻完結

男女の立場が逆転した江戸幕府を舞台に繰り広げられる、歴史改変SF漫画です。さまざまなメディアミックスがされた名作で、映画化もされました。2023年には2シーズンに分けてNHKでドラマ化されています。

男子だけが感染する謎の疫病が流行し、男子の数が激減した世界。男女の立場が逆転し、大奥には女性の将軍に3000人の男が仕えていました。貧乏旗本・水野は、さまざまな事件が巻き起こる大奥に奉公すると決意します。

本作品では実在した将軍が、女性になり大奥が女人禁制の聖域に。時代は江戸時代ですが歴史改変系で、史実とは違う新しいストーリーが楽しめます。一風変わった歴史漫画を読みたい方におすすめです。

三国志

潮出版社 著者：横山光輝 全60巻完結

三国志に独自の解釈を織り交ぜて制作された、歴史漫画です。数多くある三国志をテーマにした作品の先駆けとなった漫画で、1991年には日本漫画家協会賞の優秀賞を受賞しました。

約1800年前の中国。黄巾の乱と朝廷内の争いが巻き起こる後漢時代末、漢王朝は滅びる寸前でした。そんななか、乱世を終わらせ人々を救おうと、玄徳・関羽・張飛の3人が桃園で義兄弟の誓いを立てます。

誰もが1度は名前を聞いたことがある英雄の、歴史ドラマを楽しめる作品です。軸は史実なので、三国志を勉強したい方にもおすすめ。人物も整理されていて読みやすいので、小説の『三国志』を読んで挫折した方もぜひチェックしてみてください。

ヒストリエ

講談社 著者：岩明均 既刊11巻

『寄生獣』でお馴染みの岩明均が、デビュー前から構想を練っていた歴史漫画です。2003年から、「月刊アフタヌーン」で連載を開始しました。2010年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞を、2012年に手塚治虫文化賞のマンガ大賞をそれぞれ受賞しています。

舞台は紀元前の古代ギリシア。スキタイの出身であるエウメネスは、都市国家カルディアでギリシア人の養父母に育てられます。しかし、養父を殺され出身地を知られたことで、奴隷にまで落とされてしまう彼。これは、後にアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの、人生を描いた作品です。

主人公の視点から、マケドニアの繁栄を描く本作品。奴隷社会や階級社会の残酷さなど、時代をしっかりと汲み取っています。そんななかでも、自由に考え行動しようとするエウメネスは魅力的で、実在した人物が主人公の歴史漫画を探している方に、おすすめです。

るろうに剣心

集英社 著者：和月伸宏 全28巻完結

明治維新後の日本で、自分の運命と戦う剣士の戦いを描いたアクション漫画です。1999年まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、2017年からは続編である「北海道編」が連載中。佐藤健主演の実写映画も大ヒットし、2023年には2度目のアニメ化もされています。

倒幕が達成され、明治時代に突入した日本。そこには逆刃刀を腰に下げた、抜けた表情の優男がいました。ただの流浪人を名乗るその男の正体は、維新志士のなかで最強と謳われる人斬り抜刀斎こと緋村剣心だったのです。”不殺”を誓う彼の、戦いからは逃れられない運命を描きます。

大久保利通や新撰組など、実在した人物の名も登場しながら、時代背景とフィクションストーリーが絡みあう作品です。主題は剣心の戦いなので、時代描写と共にバトルも楽しめる歴史漫画を探している方にもおすすめです。

ベルサイユのばら

集英社 著者：池田理代子 全14巻完結

フランス革命という激動の時代を描く、愛と時代が複雑に交錯する歴史漫画です。1973年まで「マーガレット」で連載されていました。これまでに何度もメディアミックスを果たしており、2022年には新作劇場アニメ化が発表され、2024年には宝塚歌劇団による舞台も公開されます。

ヨーロッパで、アントワネット・フェルゼン・オスカルの3人が生まれます。後にフランスのベルサイユで、運命的な出会いをする彼女たち。フランス革命の影で巻き起こる人間ドラマは、3人の出会いによって始まったのです。

実在した人物と架空の人物が入り混じり、物語が展開されます。イケメンなオスカルに目を奪われる場合も。禁断の愛を描いた作品が好きな方に、おすすめです。

ゴールデンカムイ

集英社 著者：野田サトル 全31巻完結

明治後期の北海道を舞台に、繰り広げられる金塊争奪戦を描いたアクション満載の歴史漫画です。2022年まで「週刊ヤングジャンプ」で連載されていた作品で、全国各地で「ゴールデンカムイ展」が開催されるほどの人気作です。また、2024年1月には、山崎賢人主演の実写映画も公開されます。

日露戦争にて「不死身の杉元」と恐れられた元兵士・杉元佐一は、ある理由から金を欲していました。ゴールドラッシュの噂を聞き砂金集めをする彼が耳にしたのは、脱獄囚たちが隠した埋蔵金の話。アイヌの少女・アシリパと出会った杉元は、彼女と共に埋蔵金争奪戦への参加を決めるのでした。

史実を追うような歴史漫画感は薄めですが、歴史上の人物やアイヌの文化・歴史が色濃く描写されています。また、ミステリー要素やバトル要素が強く、死刑囚との戦いを描いていることもあり、ドキドキする展開が目白押し。笑って泣ける、エンタメ感が強い歴史漫画を探している方に、おすすめの1作です。

アドルフに告ぐ 手塚治虫文庫全集

講談社 著者：手塚治虫 全3巻完結

第二次世界大戦に揺れる日本とドイツを舞台に、3人のアドルフの運命を描いた歴史漫画です。1985年まで「週刊文春」にて連載されていた作品で、劇団スタジオライフにて数回にわたって舞台化されている名作です。2023年11月にも、舞台作品が上演されました。

1930年代のドイツを揺るがす、衝撃の事実。「アドルフ・ヒットラーにユダヤ人の血が混じっている」という事実を記した機密文書は、極秘に管理しなければなりません。

日本でその文書の行方を追うドイツ総領事館員には、息子、アドルフ・カウフマンがいました。父の教えとは裏腹に、ユダヤ人の少年と仲良くするアドルフ。その少年の名は、アドルフ・カミルです。2人の少年の運命は、ヒットラーの支配と秘密を軸に大きく動きだします。

手塚治虫作品のなかでも、社会派ドラマとなっている本作品。物語の軸となっているヒトラーの秘密についてはフィクションですが、戦時中の様子や当時の情景はリアルに描写されています。シリアスな歴史漫画を探している方に、おすすめです。

バガボンド

講談社 原作：吉川英治 作画：井上雄彦 既刊37巻

現代にも名の通る剣豪・宮本武蔵の人生を描く歴史漫画です。1998年に、「モーニング」で連載を開始しました。講談社漫画賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞、文化庁メディア芸術祭大賞など、多くの賞を受賞している名作です。

剣豪のなかでの天下無双を目標に、殺しあいの場へと身を投じていく宮本武蔵。剣の道の頂点を目指す人間は、放浪の人（バガボンド）となり彼との出会いで運命を動かします。

青年誌で連載されている本作品は、主人公の武蔵が何人も人を殺します。人斬りを主人公にしているからこその、次がない戦いと悩み。強い武蔵の考えが少しずつ変化する姿に、心を奪われることもあります。1人の男の生き方を追う作品に興味がある方に、おすすめです。

歴史漫画のおすすめ｜日本史

信長協奏曲

小学館 著者：石井あゆみ 既刊22巻

現代生まれの織田信長が奮闘する姿を描いた、タイムスリップ系の歴史漫画です。2009年から、「ゲッサン」にて連載されている本作品。2014年には一大プロジェクトが発表され、フジテレビにてアニメ化・ドラマ化、・実写映画化されました。

今どきの高校生・サブローは、突如戦国時代にタイムスリップしてしまいます。そんな彼が出会ったのは、イメージとは違い病弱な織田信長。サブローは信長から、入れ替わってほしいと頼まれてしまいます。

織田信長が現代から来た高校生だったらという、もしものストーリーを描く作品です。史実に基づく小ネタも盛り込まれており、歴史好きの方にもおすすめ。本能寺で亡くなるはずの歴史を辿るサブローの行く末が気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

へうげもの

講談社 著者：山田芳裕 全25巻完結

戦国時代に生きながら「茶の湯」に心を奪われた武将の生き様を描く歴史漫画です。2017年まで「モーニング」に連載され、文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞や手塚治虫文化賞のマンガ大賞も受賞しました。2011年には、アニメ化もされています。

戦国時代に生き、信長に仕えている古田左介。武士である彼の性格は、まさに物欲の権化でした。千利休に茶を学び、陶芸・服飾・甲冑とさまざまな”物”に魅入られる、オタクな彼の生涯に迫ります。

戦国時代を舞台に、戦いではなく美に焦点を当てた作品です。時代の新解釈が面白く、上手く世渡りをしていく数奇者の主人公から目が離せなくなります。そんななかで乱世に巻き込まれていくのも魅力なので、戦国時代の歴史が好きな方にもおすすめです。

アサギロ ～浅葱狼～

小学館 著者：ヒラマツ・ミノル 既刊27巻

新撰組の有名剣士を主人公にした、本格歴史漫画です。2009年に「ゲッサン」にて連載を開始しました。物語は、御前試合から動き始めます。

幕末の時代、江戸屋敷にて剣の腕前を認められる12歳の少年がいました。その少年・沖田惣次郎は、御前試合で指南役の剣豪に勝利してしまうほど。しかし、この勝利で任されたある役目が、とんでもない事件を巻き起こすのです。

新撰組隊士として有名な沖田総司のストーリーを、情熱的に描ききった本作品。史実に基づく描写が多く、人物描写も非常にリアルと評価が高い歴史漫画です。新撰組の生き様に興味がある方に、おすすめです。

アンゴルモア 元寇合戦記

KADOKAWA 著者：たかぎ七彦 全10巻完結

大事件として知られる元寇をコミック化した歴史漫画です。2018年まで「ComicWalker」で連載され、2019年からは続編である「博多編」が連載中。また、2018年にはアニメ化もされました。

罪人として対馬にやってきた武士・朽井迅三郎は、その地で襲来した蒙古軍と戦うことになります。日本史に残る事件・元寇を描きました。

歴史の授業で習った経験がある方も多い元寇。想像以上に残虐かつドラマチックな展開を繰り広げます。リアリティのある歴史漫画を読みたい方におすすめです。

あさきゆめみし 新装版

講談社 著者：大和和紀 全7巻完結

『源氏物語』を現代漫画として復活させた、少女向けの歴史漫画です。1993年まで、「mimi Excellent」で連載されていました。宝塚歌劇団によって舞台化もされており、少女漫画の金字塔として知られています。

帝の子として美しく成長した光源氏は、1人の女性に恋をします。それは、父である帝の妻でした。叶わぬ恋の逃げ道を求め、何人もの女性を渡り歩く彼。そんななか、光源氏は、あの人の面影を持つ少女と出会うのでした。

本作品は『源氏物語』の内容を、忠実に再現し漫画化しています。そのため、『源氏物語』を読みたいけど、小説は難しそうという方にもおすすめ。綺麗な絵やセリフにときめけて勉強にもなります。

ふしぎの国のバード

KADOKAWA 著者：佐々大河 既刊10巻

実在した冒険家を主人公に、古きよき日本を描く旅をする歴史漫画です。2013年より月刊漫画雑誌「ハルタ」にて、連載を開始しました。舞台は、明治初頭の日本です。

明治時代の日本に、東京から蝦夷までを旅したイギリス人冒険家がいました。彼女の名前は、イザベラ・バード。日本の滅びゆく生活を記録に残すことを目的とするバードは、1人の通訳を引き連れ、日本人でも足を踏み入れない場所へと進んでいくのでした。

冒険家であるイザベラ・バードの、著書をもとにして制作された本作品。驚きばかりのバードですが、現代日本人は彼女と同じ視点で楽しめるのがよいと評価が高い作品です。今とは違う昔の日本に興味がある方におすすめです。

阿・吽

小学館 著者：おかざき真里 全14巻完結

平安初期の日本に仏教改革をもたらした、2人の僧を追う歴史漫画です。2014年から2021年まで、「月刊！スピリッツ」で連載されていました。

日本仏教の要として知られる、比叡山延暦寺を建てた最澄。そして弘法大師として、日本人なら誰もが聞いたことのある空海。日本を変えた2人の天才の、複雑に入り混じる激動の人生を描きます。

名前は有名でも、あまり詳しくは知らない方も多い最澄と空海。若き日の彼らの驚くべき日々が事実に基づいて描かれ、その行く末までを描写します。また、作者の描く、繊細なタッチと豪快な画にも注目。仏教の歴史に興味がある方に、おすすめの1作です。

応天の門

新潮社 著者：灰原薬 既刊18巻

2人の男が事件を解決に導く、平安京クライムサスペンスです。2013年から「月刊コミックバンチ」にて連載中で、2017年には文化庁メディア芸術祭マンガ部門の新人賞を受賞しました。また、2023年には、宝塚歌劇団にて舞台化もされています。

鬼や怪奇の存在が信じられていた平安時代の都にて、女官の行方不明事件が発生します。鬼の仕業と心配する帝から解決するよう命じられた在原業平が出会った青年の名は、菅原道真。歳も身分も違う2人がコンビを組み、平安京で巻き起こる事件を解決します。

基本的には、都で起こる怪事件を、2人が思考によって解決する姿を描く作品です。事件の裏には人間の影があり、藤原氏などの権力者が絡んでいるところから、歴史漫画としても楽しめます。実在した人物を主人公とする、サスペンスに興味がある方におすすめです。

とりかえ・ばや

小学館 著者：さいとうちほ 全13巻完結

男女逆転ストーリーの先駆けともいえる古典作品を、アレンジした歴史漫画です。2012年から2017年まで、「月刊フラワーズ」にて連載されていました。

男勝りな性格の姫君・沙羅双樹と、女性らしい性格をした若君・睡蓮。2人は性別を入れ替え、沙羅双樹は男性として、睡蓮は女性として生きていきます。そんな2人には、禁断の運命が待ち受けているのでした。

古典『とりかへばや物語』をもとに、過去のおこないから運命に翻弄される2人を描いた少女漫画です。平安時代の事情が色濃く反映された物語で、画のタッチも綺麗なのもポイント。男女逆転物語に興味がある方におすすめです。

歴史漫画のおすすめ｜中国史

蒼天航路

講談社 著者：王欣太 全36巻完結

悪名を残した曹操を主人公にした、三国志をもとにする傑作歴史漫画です。1994年から2005年に、「モーニング」にて連載されていました。2009年には、アニメ化もされています。

三国時代の中国にて、魏に阿瞞が生まれ落ちます。阿瞞とは、後の武帝・曹操。彼の前には、劉備や孫権などの宿敵たちが立ちはだかりますが……。

三国志をテーマにした物語では、悪役として描かれることが多い曹操。そんな彼の視点から事件を描く本作品を読めば、印象も変わり違った三国志が楽しめると評価が高い作品です。三国志をもとにしたが好きな方にもおすすめです。

封神演義

集英社 著者：藤崎竜 全23巻完結

古代中国を舞台に繰り広げられる、ファンタジーアクション漫画です。1996年から2000年まで「週刊少年ジャンプ」で連載されていた人気作で、1999年と2018年にアニメ化されています。また、ミュージカル化もされました。

紀元前11世紀の、古代中国。殷の皇帝・紂王を誘惑した仙女・妲己は悪政の限りを尽くし、人々は絶望していました。そんな人間界を見て仙人界は悪人を封印する封神計画を実行します。

中国の古典小説を、原作にしている作品です。そのため舞台は古代中国ですが、歴史的なストーリーは薄めで、バトルを中心に軽く歴史漫画を読みたい方におすすめ。少年向けのファンタジーが好きな方は、ぜひ手に取ってみてください。

・文庫版 全12巻完結

龍帥の翼 史記・留侯世家異伝

講談社 著者：川原正敏 全25巻完結

紀元前の中国を舞台にした歴史漫画です。2016年から2022年まで、「月刊少年マガジン」にて連載されました。物語は、統一後の中国から幕を開けます。

秦の始皇帝により中国が統一され、皇帝が大陸全土を支配した頃。その中国大陸を東に進み、東夷と呼ばれる場所へと向かう男の名は、張良です。軍師として後世に名を残す彼の、冒険が始まります。

秦の始皇帝を倒すため、1人の青年が立ちあがる物語。劉邦の軍師である張良の生き様を描いており、基本的には史実に基づいたストーリーになっています。魅力的な主人公が登場するおすすめの歴史漫画です。

長歌行

集英社 著者：夏達 全8巻完結

麗しい少女の復讐を描いた、中国人漫画家による歴史漫画です。2011年から、「ウルトラジャンプ」にて掲載を開始しました。2021年に、中国にてドラマ化もされています。

626年の唐。李世民は兄を筆頭とする、自分以外に跡目になりそうな人物を殺害します。そして、思惑通り皇帝に即位した後も、敵対勢力の根絶に力を注いでいました。根絶に成功した李世民ですが、実は兄の娘・李長歌だけは生き延びていたのです。

過去の中国で、王家に逆らう大変さが描写された作品です。主人公は叔父への復讐を目的に行動しますが、その知力や武力は平凡ではありません。己の力で権力者に復讐しようとする、勇敢なヒロインに興味がある方におすすめです。

ハーン –草と鉄と羊–

講談社 著者：瀬下猛 全12巻完結

現実でも語られることがある、”ある説”をもとに紡がれる歴史漫画です。2018年から2020年まで、「モーニング」で連載されていました。

壇之浦の戦いにて、圧倒的な戦いぶりで源氏勝利の立役者となった源義経。しかし彼は兄である頼朝の不信を買い、命を守るため故郷を追われます。そして、行き着いたのは、広い大陸でした。

源義経が日本で死なず海を渡ったという、「源義経＝チンギス・ハーン説」をベースとした物語です。一風変わったストーリーの歴史漫画が好きな方におすすめの作品です。

墨攻

小学館 原作：酒見賢一 作画：森秀樹 全11巻完結

戦乱の中国で殺人を否定し、守る戦いを続けた男を描く歴史漫画です。酒見賢一の同名小説を原作にしています。1996年まで「ビッグコミック」にて連載され、映画化もされました。

約2300年前の争いが続く中国では、7つの国が戦いを繰り広げていました。城を狙われた燕は、防衛のエキスパートである墨家教団から墨者を呼びます。しかし、そこに現れた墨者は、革離ただ一人でした。

自分たちからは攻めず守る戦いをする革離の人間性が魅力的な作品。小説版を読んだことがある方にもおすすめです。

孔明のヨメ。

芳文社 著者：杜康潤 既刊15巻

誰もが知る三国志の天才軍師を、日常的な視点から描く4コマ漫画です。2013年にはドラマCDにて声を担当した声優によって、Webラジオも配信されていました。

よい男性と巡り会う機会に恵まれなかった月英。彼女のもとにやってきたのは、変わり者と評判の男・諸葛孔明との縁談でした。切れ者軍師として知られる彼の、デレデレな日常を描きます。

実在した夫婦の新婚生活を、甘い雰囲気で描写した作品です。月英に振り回されて困る孔明など、イメージとは違う彼を楽しめます。軽く読める日常系の歴史漫画を探している方に、おすすめです。

歴史漫画のおすすめ｜西洋史・ヨーロッパ史

ヴィンランド・サガ

講談社 著者：幸村誠 既刊27巻

最強民族といわれたヴァイキングに焦点を当てた作品です。2005年に連載を開始し、「月刊アフタヌーン」で連載しています。2009年に文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で大賞を、2012年に講談社漫画賞の一般部門をそれぞれ受賞。また、2019年と2023年には、アニメ化もされました。

11世紀のヨーロッパでは、あらゆる地で暴れ非道な行いをする民族・ヴァイキングが活動していました。幼少の頃からヴァイキングとして戦場で生きてきたトルフィンは、幻の大陸「ヴィンランド」を目指します。

物語はフィクションですが、実在する人物をモデルにするなどリアリティがあるのがポイント。物語の核は復讐と冒険ですが、歴史漫画としても評価が高いおすすめの作品です。

オルフェウスの窓 新装版

集英社 著者：池田理代子 全18巻完結

20世紀のヨーロッパを舞台に、3人の若者の人生を描く、ヒューマンドラマ作品です。1980年には日本漫画家協会賞の優秀賞を受賞しました。また、1983年には、宝塚歌劇団によって舞台化もされています。

南ドイツ、レーゲンスブルクにある音楽学校には、400年前から「オルフェウスの窓」と呼ばれる古い窓がありました。ここから地上を見た人は、そこにいる女性と運命的な恋に落ち、悲しい結末を迎えると噂されるその窓。これを通して、ユリウスはイザークと知りあいます。

第一次世界大戦やロシア革命とも入り組んだストーリーで、現実の歴史をモデルに3人の運命を辿る歴史漫画です。謎解きやハラハラする展開があるのがポイント。恋愛要素のある歴史漫画を探している方に、おすすめです。

ヴラド・ドラクラ

KADOKAWA 著者：大窪晶与 既刊6巻

ドラキュラのモデルにもなった暴君の真の姿に迫る、ロマン溢れる歴史漫画です。2017年から、「ハルタ」で連載中。舞台は強国に挟まれた、ある小国です。

15世紀の中期、オスマン帝国とハンガリーという大国に挟まれた小国「ワラキア」がありました。国内は貴族の思うままとなり、外交は他国との関係次第。そんな自国を守るため、若き公であるヴラド三世は立ちあがります。

“串刺し公”として知られ、小説『ドラキュラ』のモデルとなったヴラド三世の物語。本作品では冷静沈着な君主としての姿がしっかりと描写されています。政治などを緻密に描いた歴史漫画を探している方に、おすすめです。

チェーザレ 破壊の創造者

講談社 著者：惣領冬実 全13巻完結

イタリアを舞台に、激動の時代に生きるさまざまな人物の人生を描く群像劇作品です。2005年から2021年にかけて、「モーニング」で連載されていました。また、2023年には、ミュージカル化もされています。

15世紀のイタリア、ルネッサンス時代に生きた英雄、チェーザレ・ボルジア。現代政治学の祖であるマキァヴェッリに「理想の君主」とまで言われながら、彼は存在を闇に葬られました。戦乱の時代にヨーロッパ統一を目指したチェーザレの、人生を追います。

フィクションながら極力事実に基づいており、チェーザレの運命がしっかりと描写されているのがポイント。カリスマ性のある主人公が登場する、大人向けの歴史漫画を探している方におすすめです。

拳闘暗黒伝セスタス

白泉社 著者：技来静也 全15巻完結

最底辺の奴隷サバイバルで戦い続ける青年の、運命に抗う姿を描いた格闘漫画です。1997年から2009年にかけて「ヤングアニマル」にて連載された作品で、2010年からは続編が連載されています。また、2021年には、アニメ化もされました。

紀元54年のローマ帝国最下層。少年奴隷が集まるその場所では、最終選考がおこなわれます。か弱い見た目でありながら、類まれな技術を持つ奴隷拳闘士・セスタスは、敗北と死が直結する世界で自由を目指していました。

拳で戦う人間を描いた格闘漫画ですが、歴史漫画としても楽しめる作品。迫力ある格闘シーンを楽しみたい方におすすめです。

薔薇王の葬列

秋田書店 著者：菅野文 全17巻完結

家柄と運命が複雑に絡む、ダークファンタジー漫画です。2013年から2022年まで、「月刊プリンセス」で連載されていました。また、2022年にアニメ化され、同年に舞台化もされています。

中世のイングランドでは、白薔薇のヨークと赤薔薇のランカスターの2つの家が、王位をめぐって争いを続けていました。そんななか、ヨーク家三男のリチャードには、男女両方の性を持つという秘密がありました。

シェイクスピアの史劇である『リチャード三世』を原案に、オリジナル要素を含めながら展開する本作品。繊細な問題と時代背景を軸にしています。重く心にくる歴史漫画を探している方に、おすすめです。

【番外編】日本史や世界史を学べる学習漫画も

小学館 小学館版学習まんが日本の歴史全20巻セット

小学館が発行する日本の歴史を学ぶ学習漫画の決定版です。累計2090万部の「少年少女日本の歴史」が生まれ変わり、2022年に発売されました。歴史漫画に重要な情報のアップデートがしっかりとされており、令和の情報も掲載済みです。ハンドブックや事件カードなど付録も充実しています。

時代や事件の重要な点をしっかりと網羅しており、小学生はもちろん受験勉強をする中学生にもおすすめです。子供が読みやすい学習漫画を探している方はチェックしてみてください。

学研 学研まんがNEW日本の歴史 4大特典付き全14巻セット

学研が出版する、日本の歴史を網羅した学習漫画の全巻セットです。2021年に発売された12冊に、4つの特典と2冊の別巻を加えたセットになっています。

特典の内容は、寝る前5分を活用できる暗記ブックから歴史年表までと豪華なのもポイント。各歴史漫画もオールカラーで、読みやすいよう工夫がされています。

主な対象は中学生で、巻頭特集では2022年から新たに高校で導入された「歴史総合」を先取りできるような構成に。時代考証も正確なので、勉強目的で歴史漫画を探している方にもおすすめです。

講談社 4大特典つき！講談社学習まんが日本の歴史全20巻セット 22年度版

“とにかく受験に強い！”と謳っている日本の歴史シリーズです。22年度にリニューアルされたセットで、新たに特典が加わっています。

高校で地理が必修になったことを受け、スタディサプリ講師監修のもと制作された「47都道府県早わかりデータBOOK」を付属。地理と歴史を結びつけられます。

中学から大学までテストや受験対策に使えるのもポイント。読みやすいので日本の歴史を知りたい大人にもおすすめの学習漫画です。

小学館 小学館版学習まんが 世界の歴史全17巻セット

古代から現代までの世界史を網羅した、小学館の歴史漫画セットです。『詳説世界史』や『新世界史』などの教科書を制作している、山川出版社が編集協力をしています。そのため、教科書の流れを汲み取った内容になっており、受験にも役立つレベルになっているのが魅力です。

人間ドラマにも焦点を当てており、小学校高学年以上から楽しめるのもポイント。教科書で世界史を覚えるのが苦手な方に、おすすめのシリーズです。