日本を代表する漫画家「手塚治虫」。当時の漫画における既成概念を覆し、新しい表現方法でストーリー性の高い漫画を生み出してきたのが特徴です。多数の作品がアニメーション化されており、日本のアニメ文化の礎を築くことにも繋がりました。

そこで、今回は手塚治虫のおすすめ漫画をご紹介。子供にも人気の定番作品から、大人向けの皮肉がきいた作品までをピックアップしています。ぜひ参考にしてみてください。

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数々の名作を生んだ漫画家「手塚治虫」とは?

手塚治虫は、1928年大阪府豊中市生まれの漫画家です。自由な環境で育ち、漫画とアニメーションを好んで楽しんでいた手塚治虫は、ウィットに富んだ豊かな感性を持つ少年でした。さらに、昆虫好きとしても有名。ペンネームに含まれている「虫」という字は、虫への愛からきているといわれています。

戦争をきっかけに生命の大切さを考えるようになり、いっときは医学の道へ進みますが、最終的には昔からの夢であった漫画家の道へ進みました。第2次世界大戦後、日本の若者が手塚治虫作品から得た精神的な影響は非常に大きいモノであったと考えられています。

手塚治虫作品の魅力

手塚治虫は、いままでの漫画の常識を打ち破り、新しい表現方法でストーリー漫画を描いた作家です。漫画を芸術の域まで高め、文学や映画といった他ジャンルの芸術にも影響を与えてきたとされています。全体を通して、生命と向き合うようなテーマを含んでいるモノが多いのも作品の特徴です。

手塚治虫作品を原作としたアニメーションは日本中で大きなムーブメントとなり、アニメーション文化自体を定着させるきっかけにもなりました。作品はアメリカをはじめ、ヨーロッパやアジアなどにも普及し、世界中にファンがいるのも特徴。漫画のみならず、芸術に興味のある方にもおすすめの作家です。

手塚治虫のおすすめ漫画

ブラックジャック

講談社 著者:手塚治虫 全12巻完結

ブラックジャック

医師免許を持たない天才外科医のブラック・ジャックを主人公とする手塚治虫の医療漫画です。病気や生死をテーマにしたドラマが1話完結で描かれているのが特徴。多様なエピソードが展開されており、命に対する向き合い方を考えさせられる作品です。

ブラック・ジャックは、死が近い重症患者をみごとに助ける天才的な技術を持つ外科医。しかし、その代価には莫大な代金を請求するため、医学界では認められていない存在でした。人里離れた診療所で助手・ピコと共に静かに暮らす彼のもとには、今日も最後の望みをかけた患者がやってきます。

本作品の医学に対する深い見識は、著者自身が医学博士として医師免許を持っていたことに由来します。手塚治虫作品を通して命について考えたい方におすすめです。

三つ目がとおる

講談社 著者:手塚治虫 全7巻完結

三つ目がとおる

『ブラック・ジャック』と並ぶ70年代の手塚治虫の代表作と謳われているミステリー風SF作品。不思議な力を持つ3つ目族の少年・写楽保介が、怪事件の解決に挑むストーリーです。

中学2年生の写楽保介は、額を絆創膏で隠す幼い子供のような少年。しかし、額の絆創膏の下には第3の目が隠されており、目が現らになると超能力を使いこなす攻撃的な3つ目族の本性が覚醒します。保介は、クラスメイト・和登千代子と一緒に、古代遺跡や財宝に関する事件について探っていくのでした。

2つ目の人間文明を敵視し、いつかは世界を征服しようと考えている保介が、どのように人間と関わっていくのかが見どころ。ミステリー要素も兼ね備えた手塚治虫作品を読みたい方におすすめです。

どろろ

講談社 著者:手塚治虫 全2巻完結

どろろ

戦国時代を舞台に、宿命と立ち向かう2人の姿が印象に残る手塚治虫の漫画です。身体のさまざまな部分を魔物に奪われた百鬼丸と、自称大泥棒の少年の冒険譚。2019年にはテレビアニメ化もされました。

戦国武将に仕える醍醐景光は、自身の野望のために、生まれて来る子供・百鬼丸の体を生贄にして魔物と契約。そして、生まれた子供は川に流されて捨てられてしまいます。ときは流れ、成長した百鬼丸は旅人として各地を放浪。体を奪った魔物を倒すと、失った自身の一部を取り戻せるといいます。泥棒・どろろとも出会い、旅を共にしますが、先々で魑魅魍魎に襲われ戦いに巻き込まれるのでした。

魔物を倒すことで身体を取り戻し、少しずつ人間へと近づく百鬼丸や、親しみやすいどろろのキャラクターが見どころの作品です。

ジャングル大帝

講談社 著者:手塚治虫 全2巻完結

ジャングル大帝

雄大な自然に生きる白獅子・レオの姿を描いた手塚治虫の漫画。人間に育てられた白いライオンの子・レオの成長を通して、自然と人間の在り方について考えさせられる作品です。劇場版やテレビ版など、これまでに何度も映像化されています。

アフリカのジャングルで人間の罠にかかって殺された白ライオンの王・パンジャ。同じく人間に捕まり動物園へ移送されることになった妻・ライジャは、船中で生んだ王子・レオに父の跡を継ぐように諭し船内から脱出させますが…。

子供たちにも親しみやすく、キャラクターとしての知名度も高いレオ。『鉄腕アトム』に並ぶ手塚治虫の代表作とも称されています。子供と一緒に楽しみたい方にもおすすめの作品です。

鉄腕アトム

講談社 著者:手塚治虫 全9巻完結

鉄腕アトム

21世紀の未来を舞台にした、手塚治虫のSFヒーロー漫画です。10万馬力を持つ心優しいロボット・アトムの活躍を描いています。

天馬博士は、交通事故で死んだ息子・飛雄と瓜二つのロボットを開発。しかし、人間とは異なり成長しないロボットに愛想を尽かし、ロボットサーカスに売り飛ばしてしまいます。サーカスでアトムと名づけられたロボットは、お茶の水博士の功績によって人権が認められて自由の身に。

学校にも通う平和な日々を送り始めます。しかし、事件が起きると、アトムは持ち前のパワーを使って悪に立ち向かっていき…。

複数回にわたって映像化された作品です。なかでも、1963年の連続テレビアニメ化は、日本のアニメーション文化の礎を築いた作品とされています。あらためて原作漫画に触れてみたい方にもおすすめの手塚治虫作品です。

火の鳥

講談社 著者:手塚治虫 全11巻

火の鳥

手塚治虫のライフワークと称されている漫画。不死鳥を巡って、過去や未来で繰り広げられるストーリーを描いた壮大なシリーズ作品です。

生き血を飲めば不死になるといわれる火の鳥。未来や過去の世界で火の鳥を求めてさまざまなキャラクターが奮闘します。しだいに物語は「現代」へと近づいていって…。

「生と死」「輪廻転生」といった哲学的なテーマを含んだ作品です。未完結作品ですが、時間軸を越えて展開されるスケールの大きい物語を楽しみたい方におすすめです。

上を下へのジレッタ

講談社 著者:手塚治虫

上を下へのジレッタ

独特の世界観を持ったSFドラマが楽しめる手塚治虫の作品。超能力を持つ人間と、それを利用して暗躍する人間を描いています。

工事現場の地下で、漫画家・山辺音彦が仮死状態で発見されました。彼を診察しようとした医師は失神してしまいます。実は、音彦は自らの妄想世界「ジレッタ」に、他人を引きずり込んでしまう力を持った超能力者。さらに、山辺の恋人・越路君子もまた、空腹時に美女に変身するという能力を有していたのでした。

超能力の存在に気づいた敏腕プロデューサー・門前市郎は2人の力を利用して、とあるプロジェクトを仕掛けようとしますが…。政治やマスコミなどの世相を描いた手塚治虫作品です。

奇子

講談社 著者:手塚治虫 全2巻完結

奇子

戦後の日本を舞台に、失墜してゆく旧家の姿を描いた手塚治虫の漫画です。呪われた運命を背負った少女が大人になり、彼女を中心とした人間関係が少しずつ動き出します。

東北の大地主である天外家の末娘・奇子は、家長・作右衛門と長男市朗の嫁・すえとの間にできた、複雑な事情を持った娘でした。やがて、戦地から復員した次男・仁朗がGHQの命令でとある政治家を殺害したことが、奇子と小作人のお涼に知られてしまいます。仁朗はお涼を殺してしまい、市朗は一族の名誉を守るために仁朗を逃がして奇子を土蔵に幽閉するのでした。

大人になった奇子は土蔵の取り壊しとともに外へ出ますが、少女の心を持ったまま成長した彼女の目に社会がどのように見えたのでしょうか。特殊な環境で育った少女の視点を通して、激動の戦後社会を見つめられる作品です。社会派ドラマが気になる方はぜひチェックしてみてください。

リボンの騎士

講談社 著者:手塚治虫 全2巻完結

リボンの騎士

女の子と男の子、2つの顔を持つ王女の冒険譚です。女の子として生まれたシルバーランドの王女・サファイアは、天使チンクによって男の子の心も与えられていました。

シルバーランドでは女性の王位継承は認められないため、サファイアは王子として育てられることになります。王の遠縁であるジュラルミン大公やナイロン卿は、サファイアの性別を疑問に思い真相を探ろうと画策。はたして、サファイアの秘密はばれてしまうのでしょうか。

本作品は、1953年に雑誌『少女クラブ』に連載された『リボンの騎士』のリメイク作品です。さらに、1話完結形式のアニメ版も制作されています。2巻完結なので、手塚治虫作品に触れるのが初めての方にもおすすめです。

やけっぱちのマリア

講談社 著者:手塚治虫


やけっぱちのマリア

手塚治虫が描く風変わりな学園モノの青春コメディー漫画。一匹狼の少年・ヤケッパチと、ヤケッパチの体内から飛び出たエクトプラズムの少女・マリアとのやり取りを描いています。

霊体の正体ともいわれるエクトプラズムのマリアは、やけっぱちの父親から身体をもらって憑依。ヤケッパチと同じ学校へ通うことになり、学校中が困惑します。さらに、前からヤケッパチをよく思っていなかった不良グループ「タテヨコの会」は、マリアを利用してヤケッパチを倒そうとして…。

本作品は、当時流行した性や暴力をテーマにした商業性の強い漫画へのアンチテーゼになっている点にも注目。ヤケッパチとマリア、ふたりの甘酸っぱい青春がどこへ向かうのか気になる方は手に取ってみてください。