本当に1955年生まれ?!

1930年代を中心に世界で流行した流線型。かつて自動車産業界のビッグスリーと評された、1925年創立のクライスラーも最先端テクノロジーとともに流線型を追い、1935年には「エアフロー」を発表。

今回は、そんな彼らが1955年に”実験的に”製作した超流線形のコンセプトカーGHIA STREAMLINE Xをご紹介しましょう!

イタリアン・デザインとのコラボ

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GHIA STREAMLINE XはクライスラーのチーフデザイナーVirgil Exner氏とイタリアのデザイナーGiovanni Savonuzzi氏のコラボレーションによって、この世に生まれた1台限りのコンセプト。

風洞実験も実施して作り上げた流線型(名前の一部にもなっている「ストリームライン」)のアルミニウムボディは、現代の日本の新幹線にも通じる時代を超えた未来感あふれるデザインです。

ボディのフロントノーズ付近から始まり、それを受け止める特徴的なテールフィン。その後は市販車にも採用され、アメリカ50sの大排気量エンジンのテールフィンのフルサイズ(大型車)が大流行となるのです。

タービンエンジン搭載

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GHIA STREAMLINE Xが企画された当時は望まれていたものの、実現しなかったタービンエンジンの搭載。でもこれまでの生涯の途中、リファービッシュされ実動するエンジンを載せ、製作当時の”夢”を実現しました。

現在ほとんどの航空機に使用されるタービンエンジンをボディ後部に搭載したGHIA STREAMLINE Xを始動させると、「キーン」と鳴り始め、出力を上げると、奏でられる音はもう飛行機そのもの! そのまま空に飛んでいきそうです!

前進、後退、ニュートラルのみのシフトで動力がホイールに伝わるタービンエンジン。54,000回転で70馬力を発生し、最高速度はなんと時速257kmに到達するとのこと! もうスゴすぎます!

スタイリッシュ・インテリア

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長い全長とは裏腹に驚くほどせまい室内。そのインテリアをのぞいてみると、繰り返しますが、これが本当に1955年生まれなのか?! と驚愕するようなデザインのオンパレード。

まずステアリングホイール。必要ないとはいえ、エアロダイナミクスが考慮されたかのようなデザイン。まるで宙に浮いているかのような錯覚を覚えるインパネ。今でも十分に通用しそうなレトロ未来感です!

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世界中のミュージアムや個人の手を渡り歩いてきたGHIA STREAMLINE Xはオークションに出されることに。これからも大切に保存されてほしい名車です。