森ガール・山ガールといった言葉が注目され、登山ブーム再来の兆しを見せる近年。可愛らしい、個性触れるファッションで山へ出かける人が増えています。しかし、登山初心者の皆さん! 服装だけでなく、リュックの中身は気にしていますか? 時に厳しい自然と向き合う登山では、自分の身は自分で守ることを常に意識しなければなりません。あるとないとでは大違い、登山には必携の、おすすめの持ち物をご紹介します。
登山装備について
登山装備の重要性
登山口までの道も整備され、初心者でも比較的簡単に高山に挑めるようになった昨今ですが、登山者の増加に伴い、遭難者の数も年々増加しています。年間3,000人近くの山岳遭難者が出ており、その多くは、天候の判断ミスや不十分な装備での無謀な計画が原因となって発生しています。知識・経験・体力にあった登山計画を立てましょう。装備表を含む、登山計画書の作成もとても重要です。
遭難者の中には、ちょっとした装備の欠落で命を落としている例もあります。単独登山ではなおのこと、一つの装備が命を助けるという意識を持ちましょう。グループ登山であっても、道迷いで一人になってしまう可能性もあります。「人が持っているから自分はいいや。」ではなく、一人になっても大丈夫なよう準備することを心がけましょう。
もちろん装備だけではなく、トレーニングで体力を付けること、地図を読む知識を付け道迷いを防ぐこと、天候を判断することなどは登山の基本です。登山中の事故は、事前準備で防げることもあります。しっかり準備をして、大自然の中、思いっきり登山を楽しみたいですね。
準備のポイント
登山装備と一言で言っても、登山の目的や日数、季節により大きく違ってきます。テントでの宿泊を伴う登山であれば、テント装備一式・自炊のための調理道具・就寝用のシュラフなど、準備するものは多岐に渡ります。冬山登山となればなおさらです。登山初心者の場合は、まず日帰り登山や小屋泊での登山が中心になるでしょうから、装備は段階を踏んでそろえていきましょう。何度か山に入っているうちに、「あんな装備もあるんだ。」「こんな装備もいいな。」と、他の登山者から学ぶことも多くあります。
高尾山程度の日帰り登山なら、本格的な登山装備でなくても代用品で賄うこともできます。自宅にある運動靴や、簡単なリュックサックで挑める山もあるのです。何でもかんでも買い足していくのではなく、登山の目的に合わせた装備をそろえていくことが重要です。しかし、せっかく山を始めようと決心したのなら、まずこれはそろえて欲しいというアイテムがいくつかありますので、おすすめの持ち物10選としてご紹介します。
おすすめの持ち物10選
【ザック】ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE) カイルス35
ザックとは、登山用のリュックサックのことです。日帰り登山用の小さなものから、長期縦走用、女性用、子供用、クライミング向け、バックカントリー向けなど、さまざまな大きさ・種類があります。一般のリュックサックよりもフレーム・生地がしっかりしており、頑丈で背負いやすいという特徴があります。長時間背負っていても疲れにくいのが利点です。ザック選びは難しいので、登山用品店の店員さんに相談しながら、実際に背負って試してみましょう。
【登山靴】キャラバン(Caravan) トレッキングシューズ C1-02S
木の根が這い、岩場などを通過する登山では、足場の悪い所でも歩きやすい靴を選ぶことが重要です。登山靴やトレッキングシューズは、足首回り・靴底が頑丈に作られ、怪我をしにくい構造になっています。雨天時に備え、水に強いゴアテックスなどの素材を採用している靴もありますのでチェックしてみましょう。登山靴選びも難しいので、登山用品店で店員さんに相談しながら、実際に履いて試してみましょう。
【レインウェア】モンベル(mont-bell) ストームクルーザージャケット
レインウェアはとても大切な装備です。山の天気は変わりやすく、雨が降れば急激に気温が下がります。防水機能がしっかりしたレインウェアがないと、夏山でも低体温症に陥ることがあるのです。レインウェアは強風から寒さを防ぐ防寒着としても重宝します。熱くなっても汗を外に逃がす透湿性も重要ですので、機能をしっかり把握して選びたいですね。
【ヘッドランプ】ペツル(PETZL) ティキナ
明るいうちに下山する日帰り登山でも、必ず用意したい装備がヘッドランプです。頭に付けることができるライトで、両手が使えるため安全です。日帰り登山でも思わぬアクシデントにより、下山が遅れる場合もあります。また、遭難した際、自分の居場所を伝えるために用いることもあります。ヘッドランプはとても軽量に作られているので、躊躇せずに装備に加えましょう。ヘッドランプの電池残量を確認することも忘れずに。予備電池の用意も重要です。
【ツエルト・エマージェンシーシート】アライテント(ARAI TENT)ツエルト
ツエルトとは、登山用の小型簡易テントのことで、山中で動けなくなった時の野宿(ビバーク)の際、重宝します。缶ビール程の大きさに収納でき、緊急時には被るだけでも風雨がしのげ、保温効果があります。もっと簡易的なエマージャンシーシートは、安価ながら、体に巻き付けるだけで保温効果抜群。どちらか一つは必ず準備するようにしましょう。アルミ素材のキラキラしたエマージェンシーシートは、遭難時には太陽に反射させ、自分の居場所を伝えることができるという利点もあります。
【コンパス】スント(SUUNTO) コンパス
地図を読むときには必需品のコンパスですが、地図読みができなくても、いざという時に方角が分かるのは大きな救いになります。また、山頂から見える山々の方角が分かれば、どの山が何という山かを把握することができるので、楽しみも増えます。コンパスもシンプルなものから、精密なものまでありますが、必ず一つは持つようにしましょう。
【地図】山と高原地図
熟練の登山者が利用している地形図は、国土地理院が発行する2万5千分の1縮尺の地形図ですが、決められた登山道を歩く初心者には「山と高原地図」がおすすめです。山域ごとに書店で販売されています。山と高原地図の利点は、危険個所や水場、コースタイムなどの情報が明確に記載されていることです。登山道には看板で道案内がされていることもありますが、それでは不十分です。自分がいる位置がどこなのか、目的地までの所要時間はどのくらいなのか、常に把握しながら歩きましょう。
【時計】スント(SUUNTO) AMBIT3
登山で時間を把握することはとても大切です。山頂までの所要時間は? 日没までに下山するには、何時に山頂を出発すればいいか? など、時間を確認しながら計画的に行動しましょう。登山用の時計は、防水のものがいいです。最近では、高度計・気圧計・温度計・コンパス・GPS機能を搭載した時計も発売されていますのでチェックしてみてください。
【救急用品】ドイター(deuter) ファーストエイドキット
転んで擦り傷ができた。ちょっとひねって捻挫した。など、軽い怪我の時は自分で処置をして、自力下山をしましょう。必要最低限の救急用品は、どんな山行にも必要です。大きな怪我をした時にも、止血用の清潔な三角巾があるとないとでは大違い。必要な救急用品がコンパクトに収納されたキットもあります。
【携帯簡易トイレ】ハイマウント(HIGH MOUNT) 簡易トイレ
忘れがちですが、大切な山を守るために必要なマナーです。必要な時に近くにトイレがあるとは限りません。特に里山では、トイレはないのが当たり前と思った方がいいでしょう。昔から、男性なら「キジ撃ち」女性なら「お花摘み」というように、茂みに隠れて用を足すときの隠語が使われてきました。そのような時には携帯トイレを積極的に使いましょう。山には何も残さないのが基本です。
登山初心者におすすめの持ち物10選をご紹介しました。もちろんご紹介したもの以外にも、必要な装備は多数あります。装備チェックリストを使用し、抜かりなく準備をして登山に挑みましょう。準備をしっかりすれば、安心して登山を楽しむことができますし、一つ一つの装備が、いざという時の救いにもなります。ぜひ参考にしてみてください。