伝えたいメッセージに満ちたアート。
ちょっと足をのばすと、ありとあらゆる場所で目にすることができるさまざまなアート。それらは鑑賞者の目を楽しませる”ただの”美しい美術品にとどまっていません。その多くに隠された、見る者が読み解くべき作者のメッセージ。今回ご紹介する異色の事故車アート「wreck」に何が透けて見えるでしょうか? さっそく見てみましょう。
鏡面仕上げのステンレス製
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wreckはニューヨーク・ブルックリンを拠点にする彫刻家であるJordan Griska氏による、メルセデス・ベンツS550の事故車を模した彫刻アート。実車の3Dデータと事故車の画像をもとに製作された実寸サイズの姿が目を引きます。
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それもそのはず、おもに使われている材料は鏡面仕上げのステンレス鋼。約2年間をかけて12,000枚ものピースを一枚一枚、継ぎ目がわかりにくいように丁寧に仕上げられた”車体”に凄みさえ感じられます。
アンディ・ウォーホルに通じる何か
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ポップアートの巨匠であるアンディ・ウォーホルが展開した車の事故をモチーフにした作品群。そのテーマに通じるのが今回の作品であり、一瞬で命を奪う恐怖に満ちた死と現実が表現されているのかもしれません。
“重い”メッセージ
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使われているステンレス鋼は材料としても重量級。しかし、前述のとおり伝わるメッセージにも重いものがあります。きらめきにあふれるラグジュアリーカーの原形をとどめないフロント部は何を表しているのでしょうか?
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Jordan Griska氏はこの矛盾に満ちた作品により、富や自由、個性を、堕落や放蕩、不景気と明確に対比させることにより、アメリカン・カルチャーのもつ側面を表現したかったのかもしれません。
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見る人によりその解釈もそれぞれのアート作品。今回のwreckも、しばし沈黙して考えさせられる、まさにシュールな大作ですね。
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原寸大のS550を忠実に再現しながらも、そのリアリティを鏡面仕上げのステンレスで表現したwreck。しかもフロントの衝突によってひしゃげた造形も鏡面仕上げ。車両全体にわたる"鏡のひび"のように衝撃が伝わる様子が、社会の繁栄と歪みを見事に表現しているかのようです。このアーティストの他の作品も非常に興味深いものがあります。