小中学生を対象とした「児童文学」。教科書に載っていたり、かつて読み聞かせてもらったことがあったりと、懐かしい気持ちになる作品がある方も多いのではないでしょうか。大人になってから読むからこそ気づく視点があるのが、児童文学の面白さでもあります。

そこで今回は、児童文学のおすすめ作品をご紹介。日本のものと海外のものに分けて紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

児童文学とは?

児童文学とは、0歳から10代、12歳くらいまでの子どもを対象読者として想定した、文学作品のことを指します。文章に加えて、挿絵やイラストが使われているものも多く、読みやすいのが特徴です。

児童文学は、年齢や国を越えて幅広く読み継がれている作品が多数あるところもポイント。ベストセラー・ロングセラー作品も多いので、大人にも読んでみてほしいジャンルです。

最近では、児童文学を大人になってから読む、再読するという方も増えています。幼少時代に読んだ作品を再読することで、子どもの頃には気づけなかった視点で作品を味わえるのも魅力です。

児童文学のおすすめ作品|日本

銀河鉄道の夜

KADOKAWA 著者:宮沢賢治


宮沢賢治の死の直前まで変化し発展しつづけたと謳われる傑作。表題作含め、『よだかの星』『ひかりの素足』『双子の星』なども収められています。

貧しく孤独な少年・ジョバンニ。星祭りの夜、ジョバンニは親友・カムパネルラと共に銀河鉄道に乗り込みました。天の川をめぐる、美しく哀しい夜空の旅の物語が始まります。

学生時代に宮沢賢治作品に触れたことがある方にもおすすめの児童文学。一度読んだことがあっても、視点が変わると見え方も変わります。宮沢賢治の代表作を再読したい方におすすめの1作です。

ハッピーバースデー 命かがやく瞬間

金の星社 著者:青木和雄

登場人物それぞれの生き方が共感をよび、社会的ブームにもなった話題作。本作品は映画化もされています。

11歳のあすかは、日々母親から精神的虐待を受けていました。“おまえ、生まれてこなきゃよかったよな”という母と兄からの一言がキッカケとなり、あすかは声が出なくなってしまいます。

祖父母の愛と自然の力で回復を果たし、自分は自分として生きると決意したあすか。そんなあすかの姿を見た兄も、自分の生き方に疑問を感じ始めます…。

小学校高学年から中学生向きの児童文学ですが、親目線で読んでも学びの多い1冊。考えさせられるおすすめ作品です。

ごんぎつね

偕成社 著者:新美南吉


小学校の教科書にも載っている、日本児童文学の名作。償いや心の交流をテーマとした作品です。

主人公・兵十が病気の母親のためにとってきたウナギを、いたずら心で奪ってしまった狐のごん。ごんは罪滅ぼしのために、兵十の家の前にこっそり栗や木の実を届けることにしますが…。

兵十とごんが迎えるラストシーンは、大人になってから読んでも心打たれる方が多いおすすめの名場面。美しい挿絵も魅力なので、ぜひ味わってみてください。

新装版 魔女の宅急便

KADOKAWA 著者:角野栄子


ジブリから映画化もされている『魔女の宅急便』の原作です。「魔女の宅急便シリーズ」の第1巻にあたります。

魔女としてひとり立ちするために、初めての街にやってきた13歳のキキ。キキは、相棒の黒猫ジジと宅急便屋さんとして働き始めます。落ち込んだり励まされたりしながらも、街にとけこんでいくまでの1年間を描いています。

映像作品を見たことがある方にもおすすめの1冊。初めての環境のなかでも頑張るキキの姿に、元気をもらえるという声も多い児童文学作品です。

100万回生きたねこ

講談社 著者:佐野洋子


“読むたびにちがう気持ちになる”と謳われる作品。“大人向けの児童文学”とも評され、長年読み継がれている名作です。

本作品は、100万年死なないねこのお話。このねこは、100万回死んで、100万回生きた立派なとらねこです。100万人の人がねこをかわいがり、100万人の人が死んだときに泣きました。

ねこはそれまで、たったの1回も泣いたことはありません。しかし、そんなねこですが、とあるねことの出会いで考え方が変わっていきます。

児童文学ながら、大人向けの作品とも感じられる作品。挿絵もかわいらしいので、読み聞かせで親子で楽しむのもおすすめです。

精霊の守り人

新潮社 著者:上橋菜穂子


人の世界と精霊の世界を描いたファンタジー作品。「守り人シリーズ」の第1作目にあたり、アニメ化もされています。

舞台となるのは、異界と人の世界が交錯する世界。精霊に卵を産み付けられた皇子・チャグムを、刺客や魔物から守ることになった女用心棒・バルサ。そんななか、バルサとチャグムは、幼ななじみの薬草師・タンダとその師である呪術師のトロガイから驚くべきことを告げられて…。

児童文学とは思えない緻密な世界観で、年齢問わず夢中になる方も多いシリーズ。初めて上橋菜穂子の作品を読む方にもおすすめの1冊です。

No.6 #1

講談社 著者:あさのあつこ


「破滅」と「希望」の物語と銘打たれる、近未来SF作品。テレビアニメ・マンガ・Webラジオにもなり、メディア展開も豊富です。

舞台は2013年、人類の理想を実現した未来都市「No.6」。最高レベルの知能がある紫苑は、エリートとして育てられていました。しかし、12歳の誕生日の夜、運命が変わるのです…。

少年・ネズミとの出会いによって、理想都市に隠された闇を暴いていくことになった紫苑。紫苑とネズミの戦いから、目が離せないおすすめの1作です。

チョコレート戦争

理論社 著者:大石真


ロングセラー作品をリニューアルして刊行された1冊。日本国内でテレビドラマ化もされた人気作品です。

有名なケーキやさんのウィンドウガラスが割れた現場に居合わせた明と光一。大人たちは2人の言うことを信じてくれず、犯人にされてしまいます。子どもたちは立ちあがり、町一番のケーキ屋さん相手に戦いを挑むことにするのですが…。

“おとなはなんでぼくたちのいうことをしんじないの?”という子どもたちの言葉が、心に響くという方も多い児童文学作品。子どもの頃の気持ちを思い出したいという方にもおすすめです。

はれときどきぶた

岩崎書店 著者:矢玉四郎


2020年に刊行40周年を迎えたロングセラー作品。「はれぶたシリーズ」の第1作目にあたります。

則安君は、毎日日記を書いている小学生。ある日、お母さんにその日記を盗み読みされてしまいます。則安君は、勝手に日記を読むお母さんを驚かすため、でたらめなことを日記に書き始めます。

ところが、でたらめで書いたことがすべて現実になっていく事態に。ある日“ぶたがふりました”と日記に書いたら本当になってしまい、大変なことが起きていってしまいます。

子どもたちからの絶大な支持を受け、親子2代、3代と読み継がれているおすすめのシリーズ。子どもの頃に読んだことがある方も、ぜひ再度手に取ってみてください。

児童文学のおすすめ作品|海外

オズの魔法使い

ポプラ社 著者:L.F.ボーム


世界中で愛されている現代のおとぎ話。今の読者に合わせて改訂し、現代の日本児童文学作家が翻訳し直しています。

主人公・ドロシーはたつまきに吹き飛ばされてオズの国へと迷い込みます。偉大な魔法使い・オズ大王に家に帰してもらうため、エメラルドの都を目指して出発。道中でドロシーを待っていたのは、愉快な仲間たちとの出会いでした。

小学校低学年から読める児童文学作品。子どもの頃に『オズの魔法使い』を読んだことがある方にもおすすめです。

モモ

岩波書店 著者:ミヒャエル・エンデ


不朽の名作と名高い、ミヒャエル・エンデの代表作。“時間”とはなにかを考えさせられる物語です。

不思議な少女・モモは、町はずれにある円形劇場跡に迷い込んでしまいます。モモに話を聞いてもらうと幸せな気持ちになる、と町の人たちの評判に。そこへ、“時間どろぼう”の男たちの魔の手が忍び寄ってきて…。

人間本来の幸せな生き方を忘れてしまっている現代人に、“時間”の意味を問いかける物語。日々に追われる大人にこそおすすめの児童文学作品です。

ムーミン全集 新版 1 ムーミン谷の彗星

講談社 著者:トーベ・ヤンソン


1964年に翻訳版が出版されて以来のロングセラー。今も愛され続けている人気キャラクター・ムーミンの物語です。

ある夏の日、赤く長いしっぽを光らせた彗星が、地球に向かってきます。衝突の危機が迫った彗星の謎を調べるため、ムーミントロールはスニフと一緒に大冒険に出発します。

現代的な表現、言い回しに修正を施した作品です。初めて「ムーミンシリーズ」を読む方にもおすすめの読みやすい児童文学なので、ムーミンファンの方はチェックしてみてください。

ハリー・ポッターと賢者の石

静山社 著者:J.K.ローリング


魔法学校での物語を描いた「ハリー・ポッターシリーズ」の第1巻。映画もヒットし、多くのファンに支持されている名作です。

孤児・ハリーポッターは、意地悪ないとこにいじめられながら11歳を迎えます。そんなハリーの元に届いたのは、ホグワーツ魔法学校からの入学許可証。初めてハリーは自分が魔法使いだったと知るのです。

ホグワーツに入学したハリーを待ち受けていたのは、未知の世界。夢と冒険、友情、自分の生い立ちをめぐるミステリーだったのです…。

邪悪な魔法使い・ヴォルデモートとの対決の行方からも目が離せません。映像作品を観たことがある方にもおすすめの児童文学作品です。

はてしない物語

岩波書店 著者:ミヒャエル・エンデ


壮大な世界観で紡がれるファンタジー小説。児童文学とは思えないスケールで展開するストーリーです。本作品は『ネバーエンディング・ストーリー』というタイトルで映画化もされています。

バスチアンは、あかがね色の本を夢中で読み進めていました。ファンタージエン国は、正体不明の「虚無」に侵されて滅亡寸前。国を救うためには、人間界から子どもを連れてくるしかない状況でした。

“その子は、あかがねいらない本を読んでいる10歳の少年”という記述に気づいたバスチアン。“ぼくのことだ!”と叫んだ途端、バスチアンは本のなかに吸い込まれてしまい…。

ファンタージエン国の滅亡と再生を体験することになるバスチアン。実際の表紙があかがね色になっているのも、ファンタジー好きな方におすすめの児童文学です。

赤毛のアン

講談社 著者:ミヒャエル・エンデ

1952年に村岡花子によって日本語に訳され、読み継がれてきた名作。アニメ化・実写映画化・マンガ化など、さまざまなメディア化がされています。小説は邦訳20周年を迎えた2022年に改訂され、新訳が施されました。

大きな瞳にソバカスだらけの顔、おしゃべりが大好きな赤毛のアン。手違いで老兄妹に引き取られたアンでしたか、次第に2人もアンを愛するようになります。

愛に飢えていた“人参あたま”のアンが巻き起こす事件の数々から、人生の厳しさとあたたかい愛情が伝わってきます。小中学生はもちろん、30代以上の方の再読にもおすすめの児童文学作品です。

クリスマス・キャロル

KADOKAWA 著者:ディケンズ


毎年1編ずつ描かれたクリスマス・ブックの第1作。世界的にもベストセラーになった名作です。ディズニーから映画化もされています。

クリスマスの前夜、老守銭奴・スクルージのもとに、過去・現在・未来の幽霊と、昔の相棒マーリーの幽霊が現れました。

幽霊たちは、これまでスクルージがしてきた冷血非道なふるまいを見せてきました。自分の人生の空虚さに気づいたスクルージは、改心して真面目な人間の生活に立ちかえることを決意します。

大人になってから読み返すと、スクルージの立場、マーリーたちの目線など、より一層楽しめます。映像作品を見たことがある方、再読の方にもおすすめの児童文学作品です。

星の王子さま

KADOKAWA 著者:サン=テグジュペリ


生きる意味を問いかける“永遠の名作”と評される作品。ニューヨークで出版されて以来、300以上の国と地域の言葉に翻訳されました。世界中で総販売部数2億冊を超えるベストセラー作品です。

砂漠に不時着した主人公と、彼方の惑星から来た“ちび王子”。王子さまは小惑星で1人で暮らしていましたが、バラとのけんかをきっかけに星を出ます。星から星へと旅する王子さまは、出会った人々との会話から“本当に大切なことは何か”を見つけていきます。

人の心を離さない、淡々とした語り口に引き込まれる方も多い児童文学作品。新訳版なので、一度読んだことがある方にもおすすめです。

青空のむこう

求龍堂 著者:アレックス・シアラー


児童文学の名手と謳われるアレックス・シアラーの作品が、日本で初めて翻訳された一冊です。爽やかな読後感で、年齢問わず人気があります。

突然の事故で死んでしまった、10歳の少年・ハリー。あるとき、ハリーは青空のむこうから地上に降りてきます。その目的は、残してきた大事な人たちにもう一度会うことでした。しかし、地上に向かったハリーを待ち受けていたのは、想定外の現実でした。

「生きている今が大切」だと伝えてくれる1冊。アレックス・シアラー作品を初めて読む方にもおすすめの児童文学です。