小中学生を対象とした「児童文学」。教科書に載っていたり、かつて読み聞かせてもらったことがあったりと、懐かしい気持ちになる作品がある方も多いのではないでしょうか。大人になってから読むからこそ気づく視点があるのが、児童文学の面白さでもあります。
そこで今回は、児童文学のおすすめ作品をご紹介。日本と海外の作品に分けてご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
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ベストセラーの名作も多い「児童文学」とは?
児童文学とは子供を対象にした文学の総称。幼い子供のための幼年文学や中高生向けのYA(ヤングアダルト)文学など、さまざまな種類があります。取り扱われているテーマも多岐にわたり、ファンタジー・ミステリー・SFなど興味や関心に合わせて作品を選べるのが魅力です。
また、子供だけでなく大人が読んでも楽しめる作品が多いのもポイント。子供の頃に読んだ名作を再読したり、現代の新しい作品に触れたりすることで、自分自身や時代の変化を感じられます。映画やアニメの原作となった児童文学を手に取ってみるのもおすすめの楽しみ方です。
児童文学のおすすめ作品|日本
ルドルフとイッパイアッテナ
講談社 著者:斉藤洋
児童文学作家・斉藤洋が手がけた「ルドルフシリーズ」の第1作です。1987年の発売以来、多くの子供たちに愛されているロングセラー作品。発行部数は累計100万部を超えており、2016年にはフル3DCGアニメーションで映画化もされている児童文学の名作です。
長距離トラックにうっかり乗り込んでしまった黒猫のルドルフ。東京までやってきたルドルフは、土地を仕切るボス猫「イッパイアッテナ」と出会い、共に暮らしはじめます。はたしてルドルフは飼い主の待つ家に帰ることができるのでしょうか。
猫や人間との関わりを通して成長していくルドルフの姿を描いた作品。イッパイアッテナの教養あふれるセリフには説得力があり、子供はもちろん大人の心にも深く響きます。世代を超えて楽しめるおすすめの児童文学です。
魔女の宅急便
福音館書店 著者:角野栄子
角野栄子が24年にわたって描き続けた「魔女の宅急便シリーズ」の第1作。1989年にはアニメ映画化、2014年には実写映画化もされている人気作品です。
魔女のお母さんと民俗学者のお父さんの間に生まれた少女・キキ。13歳になったキキは魔女として生きていくことを決め、黒猫のジジと共にひとり立ちの旅に出ました。新しい街で宅急便屋さんをはじめたキキでしたが……。
グーチョキパン屋のおソノさんや、不思議なことが大好きなトンボさんなど、街の人たちとの出会いを通して少しずつ成長していくキキの姿が見どころ。誕生日のプレゼントとしてもおすすめの児童文学です。
博物館の少女 怪異研究事始め
偕成社 著者:富安陽子
明治時代前期の文化や空気を感じられる怪異ミステリーです。やまんばや妖怪などをテーマにした児童文学を多く手がけている富安陽子の作品。2022年に「ホワイト・レイブンズ」に選定されるなど、数々の受賞歴があります。
大阪で古物商を営んでいた父の死後、親戚を頼って上京することになった花岡イカル。ひょんなことから博物館の古蔵で怪異の研究をしている老人・織田の手伝いをすることになります。織田に指示されて蔵の収蔵品を整理しはじめたイカルでしたが……。
西洋文明と江戸の情緒が入り交じる明治時代の雰囲気を味わいつつ、怪異や謎解きを楽しめる作品。実在の場所や人物も登場するため、イメージを膨らませながら物語の世界に没頭できます。対象年齢は中学生からで、子供も大人も楽しめるおすすめの児童文学です。
霧のむこうのふしぎな町 地下室からのふしぎな旅 天井うらのふしぎな友だち
講談社 著者:柏葉幸子
柏葉幸子のファンタジー3部作を1冊にまとめた作品です。タケカワこうの挿絵を再録しているのがポイント。初めて読む方だけでなく往年のファンにもおすすめの作品です。
ひとり旅に出たリナが風変わりな町「霧の谷」で、ひと夏を過ごす『霧のむこうのふしぎな町』。映画『バースデー・ワンダーランド』の原作としても知られる『地下室からのふしぎな旅』、引っ越してきた古い家で紅と了が不思議な4人組と出会う『天井うらのふしぎな友だち』の3作品を収録しています。
全ての漢字にふりがながついているので、子供が初めて出会うファンタジーとしてもおすすめです。
ねらわれた星
理論社 著者:星新一
日本を代表するSF作家・星新一が手がけたショートショート作品。イラストを担当しているのは和田誠。わかりやすい言葉づかいと文章で、小中学生の子供でも読みやすい1作です。
異星人が恐ろしいウイルスをばらまく『ねらわれた星』など全19作品を収録。村に突然あらわれた深い穴について描いた『おーい でてこーい』、美人ロボットが殺人を犯してしまう『ボッコちゃん』など、さまざまなショートショートを楽しめます。
物語を引き立てるユーモラスであたたかみのある挿絵も注目ポイントです。ひとつひとつが短いお話なので、読書に慣れていない子供でも読みやすいのが魅力。児童文学の入口としてもおすすめの1冊です。
都会のトム&ソーヤ 1
講談社 著者:はやみねかおる
謎解きと冒険を楽しめる児童文学です。累計発行部数200万部を突破している人気シリーズの第1作目で、2021年には実写映画化もされています。
平凡ながらサバイバル能力に長けた中学2年生の内人。塾からの帰り道、同級生の創也を見かけたことをきっかけに内人の退屈な毎日は一変していきます。
都会を舞台に繰り広げられる爽快な冒険物語。知恵と知識を駆使しながら力を合わせて困難に立ち向かっていく様子に、ハラハラドキドキさせられます。脇をかためる個性豊かな登場人物たちも魅力のひとつ。夢中に読み進められる児童文学を探している方におすすめです。
杉森くんを殺すには
くもん出版 著者:長谷川まりる
複数の児童文学関連の受賞歴がある長谷川まりるが描いた物語です。対象年齢は中学生以上。現代を生きる子供たちだけでなく、大人にもおすすめの1冊です。
主人公は高校1年生のヒロ。ある日、兄のミトさんに電話をかけたヒロは親友である杉森くんを殺すことに決めたと打ち明けます。ミトさんのアドバイスに従ってやりたいことをリストにしたり、杉森くんを殺すことにした理由を言葉にしたりしていくヒロでしたが……。
物語を通して、自分や周りの人たちの心の問題とどう向き合っていけばよいのか考えさせられる作品。中高生へのプレゼントにもおすすめの児童文学です。
コロボックル物語1 だれも知らない小さな国
講談社 著者:佐藤さとる
日本の児童文学では初となる本格的なファンタジー作品です。長きにわたって多くの子供たちに読みつがれてきた1作。「コロボックル物語シリーズ」の第1作目にあたる作品で、毎日出版文化賞や国際アンデルセン賞国内賞などを獲得しています。
もちの木を探しに出かけた主人公のぼくは、小さな泉が湧き、美しい椿の花が咲く不思議な三角地を見つけます。美しい「小山」に何度も通っているうちに、昔から伝わる小人の話を耳にしたぼく。ある日、小指ほどの大きさの小さな人たちを目撃したぼくは……。
里山の自然あふれる風景や空気を感じながら読めるのが魅力。コロボックルと人間の交流をあたたかく描いています。ファンタジーが好きな子供にはもちろん、大人にもおすすめの作品。贈り物にも喜ばれる1冊です。
かがみの孤城(上)
ポプラ社 著者:辻村深月
累計200万部を突破した辻村深月のベストセラー小説の児童文庫化作品。2022年にはアニメ映画化され、話題となりました。2018年本屋大賞など、9冠を達成した名作です。
主人公は中学1年のこころ。居場所をなくしたこころは、学校に行けず閉じこもる日々を過ごしていました。ある日、こころの部屋にある鏡が光りはじめ……。鏡の先に待っていたのは、お城のような建物と7人の少年少女でした。
全ての漢字にふりがながついているため、小学生でも読みやすいのが魅力です。また、上下2巻で合計60点の挿絵が入っており、物語の世界をイメージしやすいのも嬉しいポイント。初めての児童文学としておすすめの1冊です。
空色勾玉
徳間書店 著者:荻原規子
古代日本を舞台にした壮大なファンタジー。「勾玉シリーズ」3部作の第1作目であり、第22回日本児童文学者協会新人賞を獲得した萩原規子の代表作です。
国家の統一を目論む「輝の大御神」と敵対する「闇の氏族」。両者が激しく争いを繰り広げるなか、村娘・狭也は自分が闇の氏族の巫女であることを示す印を見つけます。運命を受け入れられずに戸惑う狭也を待ち受けていたものとは一体なんだったのでしょうか。
日本ならではの死生観や東洋思想などを交えて語られる彩り豊かなファンタジー作品。主人公の成長譚としてはもちろん、恋愛要素を楽しめる児童文学としてもおすすめです。
児童文学のおすすめ作品|海外
モモ
岩波書店 著者:ミヒャエル・エンデ
1976年の刊行以来、世界各国で翻訳され親しまれている児童文学の名作です。『はてしない物語』の著者としても有名なミヒャエル・エンデの作品。1987年には実写映画化もされています。
円形劇場の廃墟に住む不思議な少女・モモ。人の話を聞くのが上手なモモの周りには自然に人が集まるようになります。しかし、時間泥棒の「灰色の男たち」が現れてからというもの、街の人たちは時間を節約するようになっていって……。
時間に追われ慌ただしく生きる大人の心に刺さる名言が随所に出てくる作品。子供たちだけでなく、大人にも大切なことを教えてくれます。対象年齢は小学4・5年から。クリスマスプレゼントや進級祝いなどにおすすめの児童文学です。
あのころはフリードリヒがいた
岩波書店 著者:ハンス・ペーター・リヒター
ハンス・ペーター・リヒターの自伝的3部作の第1作目にあたる作品です。ヒトラー政権下のドイツで、子供たちや大人がどう生きていたかをリアルに描いているのが特徴。戦争と平和について考えるきっかけにもなる児童文学の名作です。
同じアパートの1階と2階に住むぼくとフリードリヒ。一緒に遊び、まるで兄弟のように過ごしてきた2人。しかし、ヒトラー政権のユダヤ人迫害によってフリードリヒ一家は悲しい運命をたどることになってしまいます……。
戦争や恐怖政治という異常な環境に身をおいた人間が、どのように変化していくかを描いた作品。戦争の怖さや愚かさを感じられる児童文学としておすすめです。
Wonder ワンダー
ほるぷ出版 著者:R・J・パラシオ
「いじめ」を題材にした児童文学の名作です。子供から大人まで幅広く読まれ、全世界で800万部を突破したベストセラー。2018年には『ワンダー 君は太陽』で実写映画化もされています。世界的に有名な児童文学を読んでみたい方におすすめです。
主人公オーガスト・プルマンは10歳の男の子。生まれつき顔に障害を持つオーガストは、小さい頃から注目されたり怖がられたりしてきました。そんななか、オーガストにとって初めての学校生活がはじまります。
主人公のオーガストはもちろん、彼を取り巻く人々の視点からも描かれた深みのあるストーリーが魅力。感動で心が震えるような児童文学を探している方はチェックしてみてください。
ニルスのふしぎな旅(上)
福音館書店 著者:セルマ・ラーゲルレーヴ
スウェーデンの作家であるセルマ・ラーゲルレーヴが描いた冒険の物語です。長い歴史を持つ「福音館 古典童話シリーズ」のひとつ。昔話や伝説などを織り込んだ豊かなストーリー展開が魅力です。
主人公のニルスはいたずら小僧。ある日、妖精・トムテにいたずらをした罰として小人にされてしまいます。家を離れ、ガチョウのモルテンやガンのアッカと共に旅に出ることになったニルスでしたが……。
旅をするなかで、さまざまな経験を重ねていくニルス。少年の成長を楽しみながらスウェーデンの自然や文化にも触れられる、おすすめの児童文学です。原作の魅力を高める美しい挿絵にも注目してみてください。
青空のむこう
求龍堂 著者:アレックス・シアラー
64万部を超えるベストセラーを手軽に楽しめる小説。中学生・高校生におすすめの児童文学です。
事故で死んでしまった少年・ハリーは、”やり残したことがある”と言って地上に降り立ちます。ハリーがやり残したこと、伝えたかったメッセージとは一体なんだったのでしょうか……。
死後の世界を描いたファンタジー小説。生きていくうえで忘れてはならない大切なことを教えてくれるのが魅力です。爽やかな読後感を楽しみたい方はチェックしてみてください。
エルマーのぼうけん 英語文庫
講談社 著者:ルース・スタイルス・ガネット
シリーズ累計770万部を刊行した「エルマーのぼうけんシリーズ」の第1作目を英語で楽しめる作品です。日本でも長く愛されてきたアメリカ児童文学の名作です。
ぼくの父・エルマーがまだ子供だった頃、雨でびしょ濡れになった1匹の野良猫と出会いました。家に連れ帰って世話をしてあげたエルマーでしたが……。猫から聞いた不思議な島の話をきっかけに、エルマーの冒険がはじまります。
中高生が楽しめる英語版の児童文学を探している方にぴったりです。
トムは真夜中の庭で
岩波書店 著者:フィリパ・ピアス
フィリパ・ピアスが手がけた英国児童文学を代表する名作です。「時間」という抽象的なテーマを画期的に描いた作品。優れた児童文学に贈られるカーネギー賞を獲得しています。
弟の病気をきっかけに知り合いの家に預けられたトム。真夜中に大時計が13回打つのを聞いたトムは、見たことのない不思議な庭園に足を踏み入れ、ヴィクトリア時代の少女・ハティと親しくなりますが……。
ハティとの関わりを通して変化していくトムの心境を丁寧に描写しているのが魅力。物語の世界観に、自然に引き込まれるおすすめの英国児童文学です。
ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔
徳間書店 著者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
映画『ハウルの動く城』の原作として知られる児童文学です。”英国ファンタジーの女王”と称されるダイアナ・ウィン・ジョーンズの代表作品。『アブダラと空飛ぶ絨毯』『チャーメインと魔法の家』をあわせた全3巻のシリーズで、本作は第1作目にあたります。
物語の舞台は魔法が存在する国・インガリー。ある日、18歳のソフィーは魔女にかけられた呪いによって老婆の姿に変えられてしまいます。ナルシストで気まぐれな魔法使い・ハウルの城に住むことにしたソフィーでしたが……。
協力して魔女に立ち向かっていくソフィーとハウル。2人の間に生まれた風変わりなラブストーリーも楽しめる、おすすめの冒険ファンタジーです。
マチルダは小さな大天才
評論社 著者:ロアルド・ダール
魅力的なキャラクターやユーモアがあふれる英国児童文学です。著者であるロアルド・ダールは、『チョコレート工場の秘密』や『魔法のゆび』など数多くの作品を手がけています。
主人公は4歳と少しの少女・マチルダ。村の図書館にある子供向けの本を読んでしまったマチルダは、大人向けの有名な文学作品を次々に読みはじめます。しかし、両親はマチルダの才能を認められず……。学校に上がったマチルダにはさらなる試練が待ち受けていました。
横暴な大人たちに対して持ち前の頭脳で立ち向かっていくマチルダ。痛快な仕返しにワクワクしたり、理解者との出会いに胸を熱くしたり、さまざまな感情を楽しめます。子供だけでなく大人にも人気のあるおすすめの児童文学です。
シャーロック=ホームズ全集1 緋色の研究
偕成社 著者:コナン・ドイル
英国の作家コナン・ドイルが手がけた人気シリーズの第1作目です。ホームズは解剖学や化学など幅広い分野に精通している、頭脳明晰な名探偵。1887年の登場以来、世界各国で親しまれています。
ロンドンのベーカー街221番地Bに住む名探偵・ホームズ。医師であるワトソン博士と暮らしはじめたホームズのもとに、ロンドン警視庁から持ち込まれたのはある殺人事件の調査依頼でした。
本作品の対象年齢は小学校高学年から。大きめの文字で読みやすいのがポイントです。『シャーロック=ホームズ全集』は本作も含め、全14巻展開されています。推理小説が好きな子供へのプレゼントにもおすすめの児童文学です。
昔懐かしい児童文学作品。読んだことはあるけれど、内容をすっかり忘れているということも多いのではないでしょうか。今回の記事では、有名なおすすめ作品をご紹介しているので、児童文学を再読したい方もぜひ参考にしてみてください。