デジタル操作の時代、美しさとは何か。
コンピューターやロボットは完璧主義者のようにプログラムされ、人間ひとりひとりが持つ個性や均一でない不完全な部分を把握することはできません。
今回、ご紹介するbeautificationは、人間の顔にメイクをする、お化粧ロボットです。3つのマシーンが、シャドウやリップメイクを施します。まるで、顔が一枚のキャンバスになったように、それぞれの顔の個性ではなく、数式の美学によってメイクをしていきます。
ロボットに装備された鏡の前に立つと、電動のメイクブラシが強いストロークでダークブラウンのシャドウを引いていきます。その隣の鏡を覗き込めば、休むことなく回転する口紅が、唇を鮮やかにします。そして光のマスクがメイクを完成させます。
このほど、フランスのサン・テチエンヌ国際デザイン・ビエンナーレ2015で発表されたこちらのプロジェクトは、人を引き付ける魅力と美貌について議論を活性化し、いかに、この理想がオートメーションに関連づけられるかを目標に実施されたエキシヴィジョンです。
顔中に斬新なラインを描かれ、リップも大きくはみ出してしまった仕上がりを見ると、既成概念の美しさを大きく飛び超えてしまっているようですが、ロボットが作り出す美の在り方を見て、個々の美しさや個性について考えてみるのも面白いかも知れません。