トム・ヘンウッド氏の手によってデザインされたのがこのキットカーSINO。
キットカーとはざっくり言ってしまえばミニ四駆やプラモデルの「本物の車」版。自宅のガレージなどで部品を受け取り、自分の手で組み立てて完成させます。

つまりこのSINOは「購入者が自分の手で組み立てられる電気自動車」のコンセプトデザインという訳です。
車好きな人が車好きの人のために送る、非常に夢のある大人な趣味ですねー。

ガソリン世代から、電池世代へ

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デザイナーであるトム氏にはある一つの大きな不安がありました。
スマートデバイスの急速的な普及です。超精密機械が人々の手に行き届いている一方で、そのスマートデバイスを好奇心の赴くまま分解して機械弄りに熱中する人間は多くありません。

昔身近にあった機械と今私達の周りにある機械では性質がまったく異なっており、「物理的に改造して自分好みにしよう」とか「自分で修理できるかやってみよう」といった能動的な思考が奪われてしまったというのです。

キットカーという文化を次の世代へバトンタッチするべく、トム氏が取った手段は「ガソリン世代から電気世代へ」と機械の魅力を上手に伝えるというものでした。

人と機械の付き合い方

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車に触れる事で人とのコミュニケーションを作り、その輪を広げていきたいと言うトム氏。
例えば、内部の黒いシャーシパーツは青色の外部パーツから独立しています。個人が3Dプリンターなどで代替えパーツを駆動性を変えることなく変更できるため、自分でカスタマイズした思い入れのある3D設計図をオンラインの仲間たちと共有したり自慢しあったりする事ができる訳です。

時代や場所が変わろうとも、機械への情熱は変わらない。そんな想いが如実に表れている作品と言えるでしょう。

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